ひざ痛チャンネル編集部
2018-04-27

膝のお皿が割れる「膝蓋骨骨折」の手術やリハビリを知る必読書

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膝のお皿が割れる「膝蓋骨骨折」の手術やリハビリを知る必読書

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膝を強打してから、膝のお皿あたりに痛みが続いている、膝の動きが悪くなった。こんな症状に心当たりはありませんか? もしあるなら、膝のお皿こと膝蓋骨(しつがいこつ)を骨折している可能性が。この記事をご覧になっている方には「もしかしたら」という気持ちがあるかもしれませんね。

膝のお皿を骨折してしまったら、完治までどのくらい期間がかかるのでしょうか? また、効果的な治療法はあるのでしょうか? 手術をするorしないの基準、リハビリの注意点、後遺症……。こうした数々の不安、この記事を読んで払拭しましょう。

膝のお皿の「膝蓋骨骨折」

膝蓋骨骨折の治療期間スポーツでの接触により転倒し膝を打った、交通事故で膝を強打した、など、膝蓋骨を骨折する原因は様々。どの世代にも起こり得る外傷ですが、高齢者は軽く膝を打っただけでも骨折してしまう可能性があります。度合いにもよりますが、ほぼ元の状態に戻るまで3〜6ヶ月かかるとされています。

きっかけが打撲と似ているため「打撲と思って放置していたら、しばらくして骨折とわかった」というケースもあります。全ての症状が必ず出るわけではありませんが、膝蓋骨周辺の痛み、腫れ、膝の可動域制限の3つが起こりやすいでしょう。

骨折していると、膝蓋骨に触れた際にくぼみが分かることがあり、強い痛みが生じます。また、膝蓋骨にはスムーズな膝の曲げ伸ばしを助ける役割があるため、骨折に伴い膝の可動域が制限される場合も少なくありません。打撲であれば、可動域制限が起こるケースは珍しいです。

 

膝蓋骨骨折が疑われるときの応急処置

膝蓋骨骨折の応急処置

症状の感じ方は人それぞれ。打撲と骨折、どちらか判断がつかず不安な場合は、病院で診察を受けることをおすすめします。膝蓋骨骨折が疑われる場合は、ひとまずRICE(ライス)という、次のような応急処置を行ってください。近くに病院がない場合、整骨院や接骨院でも応急処置のみであれば対応可能です。あくまで応急処置なので、その後は必ず病院に行って整形外科を受診するようにしてください。

  • Rest(レスト)……安静
    膝を動かさず安静にする処置です。添え木などを使って、膝が曲がらないように固定しましょう。そうすることで折れた骨が移動してしまうのを防ぐことができます。
  • Ice(アイス)……冷やす
    腫れを抑えるため、氷のうなどを使って患部を冷やす処置です。直接皮膚に当てないよう、タオルなどで巻いてください。
  • Compression(コンプレッション)……圧迫
    出血や腫れを抑えるため、布などを用いて患部を圧迫する処置です。強く圧迫しすぎると血行障害になる恐れもあるので、慎重に行うことが大切です。
  • Elevation(エレベーション)……挙上
    腫れを抑えるため、患部を心臓より高い位置に上げる処置です。椅子などを使って行いましょう。

 

膝蓋骨骨折の分類が、治療法の判断材料に

治療法としては、手術療法と保存療法があります。骨折と聞くと、ギプスで固定するなどの保存療法が先に思い浮かぶのではないでしょうか。もちろん保存療法も用いられるのですが、膝蓋骨骨折の治療においては手術療法も珍しくありません。そこで必要なのが、膝蓋骨骨折の「分類」です。

病院を受診すると、問診などと併せてX線検査が行われ、その結果によって治療法が決定されます。一般的に、膝蓋骨骨折で手術が必要なのは「折れた骨同士が3ミリ以上離れていて、関節面では2ミリ以上のずれがある場合」とされています。ただ、この基準にぴったり当てはまるものばかりではありません。そこで、どのように膝蓋骨が損傷したかという分類が、医師の診断における判断材料となるわけです。大きく、縦骨折、横骨折、粉砕骨折の3つに分類されます。

膝蓋骨骨折の分類

HEALTHCLUES

  • 縦骨折……膝蓋骨に、地面と垂直方向の亀裂が入った状態。
  • 横骨折……膝蓋骨に、地面と水平方向に亀裂が入った状態。
  • 粉砕骨折……膝蓋骨に、細かく砕かれたような亀裂が入った状態。

横骨折、粉砕骨折の場合、手術が必要となることが多くなります。膝蓋骨は、太ももの筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と膝蓋靭帯(膝のお皿とすねの骨をつなぐ靭帯)によって、それぞれ上下から引っ張られている状態。横方向に骨折した場合、双方から引っ張られる力によって折れた骨が引き離されることがあり、保存療法を行っても骨の修復には期待できません。また粉砕骨折も、膝のお皿がバラバラになっているような状態。こうしたケースでは手術療法が選択されます。

 

手術と術後

膝蓋骨骨折の手術

一般社団法人 日本骨折治療学会

手術としては、まず真っすぐな硬い針金で折れた骨を固定します。その針金に細い針金を巻きつけ、さらに固定して骨の癒合(くっつくこと)を待つというもの。骨の欠片がしっかり固定されるため、膝の上下(大腿四頭筋と膝蓋靭帯)から引っ張られて、折れた膝蓋骨が引き離されるのを防ぎます。手術は1時間半〜2時間程度です。

手術後、歩けるまでの期間は?

膝蓋骨骨折で上記の手術を受けた場合、術後にギプスを装着する必要はありません。骨の欠片がワイヤーでしっかりと固定されているため、早い段階でリハビリが開始でき、すぐに歩くことも可能に。保存療法よりも治療期間を短縮することができます。

入院は必要? 期間は?

術後4〜6ヶ月で針金を抜く

手術後は2〜3日の入院が必要なことが多いですが、状態によってはそのまま帰宅可能となることもあります。ただ、傷口からの細菌感染を防ぐという意味でも、数日間は入院するのが望ましいでしょう。

また、骨の癒合が確認できた段階で、手術に使用したワイヤーを抜くことになります。人によって時期は異なるため断定はできませんが、術後4〜6ヶ月程度が標準。その際にも数日間の入院が必要となります。

 

手術が不要な場合、3〜5週間の保存療法も

縦骨折の場合、横骨折や粉砕骨折と比べて手術が不要なケースが多くなります。膝を伸ばした状態でギプスをつけ、太ももから足までを固定することで骨の癒合を目指す保存療法が一般的です。膝蓋骨の損傷具合によっても異なりますが、ギプスの装着は3〜5週間が目安。その後、ギプスを外した段階でリハビリを開始します。

保存療法は「ギプスで固定して回復を待つだけ」といった、マイナスな印象が強いかもしれません。しかし近年、保存療法の一つとして超音波を用いた治療なども注目を集めています。超音波治療は、出力の低い超音波を連続的に患部へ照射することで、骨折の治療を早めるもの。これは脛骨の骨折に対するデータですが、保存療法における治療期間が3〜4割ほど短縮されたという報告もあります[1]。膝蓋骨骨折についても、治療を進めていく中で検討してみてもよいでしょう。

[1] Heckman JD, et al. Acceleration of tibial fracture-healing by non-invasive, low-intensity pulsed ultrasound. J Bone Joint Surg Am. 1994 Jan;76(1):26-34.

 

リハビリ方法や期間は?

膝蓋骨骨折のリハビリ

膝蓋骨骨折は、保存療法と手術療法で、それぞれリハビリの開始時期が異なります。手術を行った場合、手術の翌日から歩くことも可能。そのため、術後のかなり早い段階でリハビリを開始できます。

保存療法の場合、ギプスを装着後3〜5週間程度で外し、リハビリを始めます。固定していた期間が長いほど可動域は狭まり筋力も落ちるため、より念入りにリハビリを行う必要があるでしょう。完治まで3〜6ヶ月と冒頭で触れましたが、リハビリの状況により前後します。

まず、失われた筋力を取り戻すため、膝蓋骨周辺の筋力トレーニングを行うことが多いです。そこから骨の癒合具合を見つつ、徐々に関節可動域を広げる訓練や荷重訓練を始めます。膝蓋骨骨折のリハビリでは、保存療法と手術療法のどちらにおいても、膝関節の可動域制限を残さないようにすることが大切。ただし、リハビリ中に痛みが出る場合、無理は禁物です。

筋力トレーニング

色々な種類がありますが、代表的なトレーニングをご紹介します。膝蓋骨につながっている大腿四頭筋のトレーニングで、セッティングと呼ばれるものです。

①トレーニングする足を伸ばして床に座ります。
②コンパクトに丸めたバスタオルを、伸ばした足の膝より少し上(太もも下)に敷きます(※1)。
③つま先を天井に向けて立て、タオルをつぶすように膝を伸ばします(※2)。
④この状態を5~10秒キープ。連続して5~10回という運動を1日3セットを目標に行います。
※1:膝が伸びきらない人は、膝より少し下のふくらはぎあたりに敷きましょう。
※2:このとき、太もも前面の内側部分(内側広筋)に力を入れるよう意識するのがポイントです。

関節可動域訓練

関節可動域訓練

膝蓋骨の癒合状況を見て、徐々に関節の可動域を広げる訓練を始めます。膝蓋骨骨折のリハビリで行う場合、理学療法士などの専門家がモビライゼーションと呼ばれる技術を使います。モビライゼーションとは、低速度の刺激を反復して与え、関節の可動域を広げる手法。画像のように膝の徒手的な曲げ伸ばしを繰り返し、可動域を広げていきます。

 

リハビリの禁忌は?

膝蓋骨を骨折した状態でやってはいけないのが、膝を曲げた状態で体重をかける動作です。それはリハビリ時でも同じ。先にも触れたように、膝の上下(大腿四頭筋と膝蓋靭帯)から引っ張られることで、折れた膝蓋骨が引き離される可能性があるためです。横骨折や粉砕骨折の場合、その危険性はさらに高まります。

そこで、保存療法と手術療法のいずれにおいても、リハビリの初期段階では「ニーブレース」と呼ばれるサポーターをつけることが望ましいとされています。

リハビリで使用するニーブレース(サポーター)

ニーブレース

Axel – アズワン

膝蓋骨骨折でリハビリを開始した段階では、膝を曲げた状態で体重をかけることが禁忌。そこで、リハビリの初期ではニーブレースなどの装具をつけるのが望ましいとされています。これを装着することで、膝が一定以上の角度には曲がらないよう固定されます。

膝を曲げて体重をかける訓練が可能と認められるまでは、膝に負担をかけないようリハビリを行うのが鉄則です。ニーブレースはネットのショッピングサイトでも売られています。

 

後遺症を回避するには、早期受診と適切なリハビリを

後遺症があるのか、不安な方が多いのではないでしょうか。膝蓋骨骨折は比較的予後の良い外傷ですが、粉砕骨折など重症となった場合、膝の曲げ伸ばしが制限される「可動域制限」が後遺症として残る可能性はあります。

しかし、膝が拘縮(関節が固まって動きが悪くなった状態)を起こさないように適切なリハビリをすることで、後遺症のリスクは格段に減らすことができます。膝蓋骨骨折は、受傷時より重症化させないことが大切です。安易な自己判断は避けて早めに受診するようにしましょう。

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