ひざ痛チャンネル編集部
2017-11-02

変形性膝関節症の代表的な症状と対処法【セルフチェックあり】

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変形性膝関節症の代表的な症状と対処法【セルフチェックあり】

膝の痛みの原因として非常に多い、変形性膝関節症。膝に痛みを抱える人が増加している昨今、この疾患の知名度は上昇しています。どんな疾患なのか、もし患ってしまったらどんな症状が現れるのか。それが最も気になるところではないでしょうか。

ここでは、変形性膝関節症の代表的な症状を解説。それぞれの原因や対処法もお伝えします。既に診断を受けた方も、もしかしたらと疑っている方も、まずはこの記事から読んでみてください。記事の最後にはチェックリストもご用意しています。

変形性膝関節症に多い痛みと腫れの症状

変形性膝関節症

変形性膝関節症の診療をしていて、患者さまの主訴(主に症状)として多いと感じるのが、やはり「痛み」です。この疾患は進行性ですから、はじめは立ち上がりや歩き出しに感じる違和感レベルでも、進行に伴い徐々に悪化していくケースが多く見られます。初診時に腫れ・水たまりを併発していることも少なくありません。

「痛みはないけれど、膝の腫れや水たまりが気になる」と病院を受診したところ、変形性膝関節症と診断を受けるケースもあります。一般的には進行するにつれ痛みが強くなることが多いですが、初期でも強い痛みが出る方や、逆に全く痛みが出ない方など、症状の出方は様々です。

それぞれの症状の原因と対処法

変形性膝関節症で生じる症状には、動き出しの膝の痛み、日常動作における膝の痛み、膝の違和感(こわばり)、膝が伸びづらい、膝が曲げづらい、膝が鳴る、膝に水がたまるといったものがあります。これらの症状は独立しているわけではなく、たとえば膝に水がたまって曲げづらいといったように、それぞれが絡み合っているのです。

いずれの症状も、放置はNGです。変形性膝関節症がどんどん悪化してしまうかもしれません。そうなる前に、これらの症状の原因と対処法を、具体的に知っておきましょう。治療には専門家の指導が必須ですが、その前に知識を入れておくことで、よりスムーズに医師の言葉を理解できるはずです。

動き出しの膝の痛み

動き始めに膝が痛いのは変形性膝関節症の症状

動き出したときに感じる痛みをスターティングペインと言います。はっきりとしたメカニズムはわかっていませんが、これは変形性膝関節症の特徴的な症状の一つです。次第に、動き出し以外の日常動作でも痛みを感じるようになっていく可能性があるため、注意して観察する必要があります。

動き出す前に膝を軽く動かすことで対処

膝を少し動かしてから立ち上がったり、歩き出したりするようにしましょう。これにより、多少は痛みが軽減されるはずです。例えば、立ち上がる前に両膝を左右に5〜6回大きく揺らすのが効果的。膝周りの筋肉がほぐれ、立ち上がったときに痛みが生じにくくなります。

ただ、上記の対処法で安心してはいけません。繰り返しになりますが、スターティングペインは変形性膝関節症の発症サインであることも考えられるため、早めの治療が重要です。

日常動作における膝の痛み

階段で膝が痛いのは変形性膝関節症の症状

動き出しに限らず、日常生活の様々な動作で膝の痛みが生じることがあります。シチュエーションとして多いのが、階段の昇降時。これは変形性膝関節症の特徴的な症状です。膝関節にかかる負荷は、直立時に体重の2.5倍、階段昇降時は3.2倍であるというデータがあります。特に階段を下るときの痛みが強く、当院の患者さまも「上りより下りがつらい」とおっしゃることが多いです。これは、筋肉を先に働かせながら下りることが難しいからと考えられます。上るときは大腿四頭筋をきかせてから膝に体重をかけることができますが、下りでは膝への荷重が先行してしまうためです。

日常的にこうした痛みが継続するようになると、変形性膝関節症が進行している証拠。放置はせず、早めに適切な治療を行いましょう。

体重のかけ方を意識することで改善

膝への体重のかけ方に気をつけることが、痛みの軽減に効果的。例えば階段昇降時なら、上るときは痛む足を後に出すこと、下るときは痛む足を先に出すこと、そして一段ずつ足を揃えながら歩くことです。これによって、痛みのない方の足で体重をカバーできます。

また、階段昇降時にかかる膝への負荷を考慮すると、適正体重の維持も忘れてはいけません。あくまで目安ですが、適正体重は「(身長m)2 ×22」で算出することができます。体重が重ければ重いほど、膝への負荷は大きくなるためです。

膝の違和感・こわばり

膝がこわばるのは変形性膝関節症の症状のひとつ

起き上がったときや歩き出したとき、膝にこわばりが生じることがあります。平たく言うと、うまく動かないような違和感です。これは「スターティングペイン」とも類似しており、しばらく動いていると違和感が解消されるのが特徴です。

動かずじっとしていることで関節液が膝関節の下方に停滞することや、筋肉の拘縮が原因と考えられます。動きだしたときに膝の曲げ伸ばしがうまくいかず、関節への負担が増えてしまうのです。

動き出す前に軽くマッサージをして改善

動き始める前に軽くマッサージや膝の曲げ伸ばしを行うことで、改善が期待できます。マッサージでは筋肉をほぐすと同時に血流も良くすることができますし、立ち上がる前に膝を曲げ伸ばすことは準備運動にもなります。

膝が伸びづらい

膝が伸びないのは変形性膝関節症の症状

膝を真っすぐ伸ばしづらくなります。常に膝が少し曲がったような状態となり、伸ばそうとすると痛みが生じることも。半月板を損傷したときも同様の症状が見られますが、変形性膝関節症にも多く見られる症状です。

原因として考えられるのが、骨や半月板、関節内の組織である滑膜、筋肉の異常。特に、膝を伸ばす役割のある太もも前側の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や、太もも外側の大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)に異常が起きている可能性があります。膝の伸びづらさを放置していると、どんどん周囲の組織が固まったり筋力が衰えたりし、変形性膝関節症の悪化にも繋がりかねません。

膝を伸ばすための筋肉を動かし改善

上述の大腿四頭筋や大腿筋膜張筋といった筋肉のストレッチやマッサージが有効です。大腿四頭筋は、膝関節の伸展に加え、膝にかかる負荷を吸収する役割もあるため、重点的に鍛えるべき部位と言えます。また大腿筋膜張筋は、大腿骨と脛骨、つまり膝関節をまたぐように存在する筋肉。ここに拘縮があると膝関節が伸びづらくなり、常に少し曲がった状態が続いてしまいます。これによって膝の内側への負荷が増長し、変形性膝関節症が進行する要因にもなります。

日常生活で、膝関節を曲げた状態での座り姿勢が続く人が多いことを考慮して、当院では膝を伸ばすために必要な部位に刺激を入れるリハビリ指導を行っています。

膝を曲げづらい

変形性膝関節症は正座がつらい

しゃがむ、正座をするといった、膝を大きく曲げる動作がつらいと感じるようになります。これは膝が伸びづらいのと同様、筋肉の異常による関節の可動域制限が原因であることが多いでしょう。膝が曲がる角度としては、日常生活を行うために必要な目安があります。具体的には、歩くために60度、しゃがむために100度、正座するために150度、膝が曲がる必要があるとされています。

関節内の炎症で膝に水がたまっていたら、それも可動域制限の原因となっているかもしれません。

正座など膝を曲げる動作を避け改善

変形性膝関節症を発症している状態では、正座自体が膝への負担となり、症状を悪化させる恐れがあります。膝を大きく曲げる動作は可能な限り避けるようにし、椅子やソファーに腰掛けましょう。

また、膝を曲げるために働く筋肉が太もも裏側のハムストリングス。ここをほぐしたり鍛えたりすることで、曲げづらさを緩和できるケースもあります。

膝が鳴る

膝で音が鳴るのは変形性膝関節症の症状

膝を曲げ伸ばした際にポキッ、パキッと音が鳴るのは、キャビテーションという現象が原因ではないかと考えられています。これは、関節内を満たす滑液中にある気泡が、圧力の低下によって弾ける現象。それほど心配する必要はありません。

ただし、痛みや歩行時にギシギシ、ミシミシなどの音が聞こえてきたら、要注意。損傷した軟骨や半月板が関節内に挟まっていたり、骨同士がぶつかり合ったりしている可能性があります。

適度な運動により筋力をつけ改善

筋トレやストレッチなどを、適度に行うのが効果的。大腿四頭筋やハムストリングス、腓腹筋といった、膝周辺の筋肉を鍛えましょう。これらの筋肉は、いわば膝関節のサポート役。負荷を吸収し和らげてくれる役割があります。ただし、膝への負荷が大きいものはおすすめできません。専門家と相談し、膝の状態に合った適切な運動を行うのが望ましいでしょう。

また、正しい姿勢を保ち、膝関節にかかる負荷を整える意識も必要となります。関節や骨の配列(アライメント)に崩れがあると、膝関節にかかる負荷のバランスも乱れ、変形性膝関節症の悪化に繋がってしまうことがあるからです。

膝に水がたまり、腫れる

膝の水たまりは変形性膝関節症の症状正式には関節水腫(すいしゅ)と言います。「水」とは関節液のことで、正常な膝関節内にも常に存在するもの。ただ、関節を覆っている滑膜が炎症を起こすと関節液の分泌バランスが崩れ、過剰に分泌してしまうことがあるのです。これが膝の水たまりの正体。発赤や熱、痛みを伴って腫れることもあり、いずれも関節内で起きている炎症が影響していると考えられます。水がたまって膝の裏が腫れるベーカー嚢腫ができることもあります。

水を抜くことに問題はないが、炎症を抑える治療が必要

膝にたまった水を抜くとクセにならないか、という質問を受けることがよくあります。まず、水を抜くことには問題はありません。注射器で水を吸い取ることで腫れぼったさがなくなり、関節を動かしやすくなります。ただ、肝心なのはこの後。炎症を抑える基本的な治療を行わなければ炎症は継続。水はたまり続け、何度も水を抜くことに。クセになると言われているのはこのためかと思われます。一般的な治療としては、抗炎症作用を持つ薬の服用が考えられます。

また、関節液検査といって、別の疾患の可能性を調べるために膝の水を抜くことがあります。これが行われるのは、関節リウマチ、化膿性関節炎などが疑われる場合です。

どの症状も放置せず、適切な対処を

適切な対処とは、医師や理学療法士といった専門家の判断のもとで対処することです。変形性膝関節症は進行性で、一度かかると完治はしません。仮に自己判断で対処し一時的に症状が改善しても、治ったわけではないのです。

既に変形性膝関節症の診断を受けている方は、疾患の進行を防ぐためにも、まず安心・納得したうえで治療を受けることが前提条件。信頼のおける医師がついてくれたなら安心にも繋がりますし、それが少なからず治療の効果に影響をもたらすとも考えられます。

また、もしかしたら変形性膝関節症かも? と疑っている方は、ご紹介した症状があるようなら早めに病院を受診していただきたいと思います。それでも病院に行くべきなのか判断しがたいという方は、下記にチェックリストをご用意していますので、変形性膝関節症の危険度を確認してみてください。

未受診の方のための変形性膝関節症チェックリスト

まだ病院をしていない、迷っている。そんな方は、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。4個以上思い当たるものがあれば危険度は高いため、早めの受診を。3個以下の方も、膝の痛みが3ヶ月以上続いているようであれば、受診が必要と考えます。

①膝が腫れる
②初動時に痛みがある(例:立ち上がる時の痛み)
③夜間痛がある
④しゃがめない(和式トイレ不可)
⑤正座ができない
⑥歩行時痛がある
⑦走れない
⑧階段は上りよりも下りで膝痛が辛い
⑨過去に膝を痛めた(けがをした)ことがある
⑩スポーツをしているorスポーツをしていた
⑪O脚 or X脚だ
⑫肥満体系である
⑬膝を真っすぐに伸ばすことができない
⑭筋肉が落ちた
⑮膝の曲げ伸ばしで音が鳴る

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