ひざ痛チャンネル編集部
2018-07-06

【変形性膝関節症にも】膝を鍛えるメリットと実例と注意点について

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【変形性膝関節症にも】膝を鍛えるメリットと実例と注意点について

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「階段の上り下りが辛い」「歩くと膝が痛むようになってきた」「年をとったので何となく不安で……」

ひざ痛チャンネルが男女100人に「膝を鍛えようと思うのはどんなとき?」という質問でWebアンケートを行ったところ、このような回答が集まりました。これを見て、共感されている人も多いのでは? ただ、いざ膝を鍛えるといったときに多い心配が、逆に膝を痛めてしまわないか、ということではないでしょうか。

そこで、ひざ痛のケアを専門とするメディカルトレーナーが、家で簡単にできる膝の鍛え方を紹介します。動画を交えてレクチャーするので、正しい方法が分かります。さらに、膝を痛めないための3つの注意点はもちろん、実体験を交えた膝を鍛えるメリットや、トレーニング継続のためのアドバイスも公開中。さっそく今日からトライすることで膝の痛みや違和感をなくし、より快適な生活を手に入れましょう!

 

膝を鍛える理由に垣間見える変形性膝関節症の予備軍

「膝を鍛えようと思うのはどんなとき?」という質問のアンケートに寄せられた回答を見ていると、変形性膝関節症の予備軍、もしくは初期段階では? と思わせる症状の訴えが多いことに気づきます。

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、その影響で炎症を起こした膝に痛みが生じる病気です。進行性のもので、放置していると骨までもが損傷。膝のこわばりや動かしづらさだけでなく、膝の激痛や膝関節の変形によって、歩行が困難になることも少なくありません。

そんな変形性膝関節症の主な原因は、加齢や肥満、そして筋力不足などがあげられます。そのため、これらの要因が大きく関わる40代から徐々に増え始め、50〜60代になると発症率が急増することが下のグラフからも読み取っていただけるでしょう。

変形性膝関節症の男女割合

また、原因としてはハイヒールなどの不安定な靴や女性ホルモンなどが関係することもあると言われており、実際に40歳以上の変形性膝関節症患者は、男性860万人、女性1,670万人という推測も発表されています(※1)

※1「変形性膝関節症の大規模臨床統合データベースの構築と、これを用いた観察疫学・ゲノム疫学研究」川口 浩、村木 重之、阿久根 徹、馬淵 明彦、中村 耕三、吉村 典子 日本整形外科学会誌 82 (2) 2008

 

変形性膝関節症と関係の深い30〜50代が多く回答

そして、以下が「膝を鍛えたいと感じるとき」というアンケートに回答くださった方々の、年齢層と性別の統計です。今回はWebアンケートということが、年齢層や性別に多少影響しているかもしれません。ただ、それを差し引いても、膝を鍛えるという予防的な行動を考えているのは、30〜50代、そして女性が多いという結果に、やはり変形性膝関節症との関係を考えてしまうのです。

【年齢層】

  • 10〜20代……10人
  • 30代……………27人
  • 40代……………27人
  • 50代……………29人
  • 60〜70代……7人

【性別】

  • 男性……………36名
  • 女性……………64名

 

膝を鍛えようと思う理由にも変形性膝関節症が見え隠れ

ロコモが考えられる症状ではつまづきが多い

変形性膝関節症が大きく関係していると考える理由は他にもあります。冒頭でも少し紹介しましたが、膝を鍛えようと思ったきっかけがそれ。回答の表現は様々ですが、内容を大きく分類すると、変形性膝関節症の症状にも言えることが多かったのです。

まず、変形性膝関節症の予備軍や初期の主な症状がこちら。

  • 膝がこわばる
  • 膝が曲げ伸ばしづらい(動かしづらい、長時間同じ姿勢だと膝が伸びないなど)
  • 膝が痛い(動き始めに痛い、すぐ痛くなるなど)
  • 階段の上り下りがつらい
  • 膝が崩れる(急に膝の力が抜ける、膝がカクカクするなど)

そして、アンケート(n:理由記載の30名)の「膝を鍛えようと思ったきっかけは?」への回答には、以下のような理由が見られました。上記の変形性膝関節症の症状と照らし合わせると、類似する部分が多いことが分かります。

  1. 階段がつらい(33%)
  2. 歩くと痛い(16%)
  3. 膝を守るため(13%)
  4. 膝が疲れやすい、疲労が長引く(6%)
  5. 長時間の同じ姿勢で生じる違和感(6%)
  6. その他(20%)

1位の「階段がつらい」には膝の痛みの他、ガクッとなる、ピキッとするなど、変形性膝関節症の症状と一致する具体的な回答が見受けられました。また、5位の「長時間同じ姿勢で生じる違和感」も、膝が痛い、膝が伸びなくなるなど、同じく変形性膝関節症の症状と一致します。こういった回答をされた方はほとんど30〜50代。一方で、ランニングなどのスポーツの際に膝を痛めないように(3位回答)という理由は20〜30代の若い年齢層が目立っていました。

 

膝を鍛えるメリットと実体験エピソード

膝を鍛えることを思い立つきっかけと変形性膝関節症が関係するであろうことは、お分かりいただけたかと思います。先にもお話したように、変形性膝関節症は進行性のもので、一度患うと完治は難しい病気です。そのため、予防がとても重要。アンケート結果に共感した人は、今すぐにでも膝周りのトレーニングを始めることをおすすめします。

そうは言っても、まずはやる気を奮い立たせないと、という人もいるでしょう。そんな人は、膝を鍛えることのメリットを先に知っておくと良いかもしれません。実際にリハビリで膝を鍛えた方に起こった嬉しい変化を交えてご紹介します。

 

メリット1:膝の痛みが出にくくなる

ウォーキング

ニーズとしても高い膝の痛みの緩和ですが、膝を鍛えることで改善することが認められています(※2)特に太もも前側の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、膝関節への負担を軽減することのできる中心的な筋肉で、鍛えればそれだけ膝をサポートできるので、痛みも生じにくくなるでしょう。

当院のメディカルトレーナーが過去に担当した80歳を過ぎる女性の方も、鍛えることで膝の痛みを改善させたお一人でした。トレーニング前は車いす生活で、膝や腰の痛みから仰向けに寝ることすらできない状態。そんな中、毎日コツコツと膝周りを中心に筋肉を鍛えること1年半、なんと杖なしでも歩けるほどに改善されました。今では、草むしりもご自分でなさっているとのことです。

※2「The Effectiveness of Exercise Therapy in Patients with Osteoarthritis of the Hip or Knee; A Randomized Clinical Trial」Van Baar, et al: J Rheumatol, 1998;25:2432-9

 

メリット2:膝が曲げ伸ばしやすくなる

変形性膝関節症でリハビリ法を指示されている

膝の曲げ伸ばしにも、太ももの筋肉が大きく関係します。膝を伸ばす行為は大腿四頭筋の伸縮によるものですし、膝を曲げるにはハムストリングスが機能。つまり、大腿四頭筋やハムストリングスといった膝に関係する筋肉を鍛えることで、膝の曲げ伸ばしをスムーズに改善することが期待できるのです。

 

メリット3:膝関節が安定する

変形性膝関節症への運動治療の効果

力が入らない、踏ん張りが利かないなど、膝関節が不安定なことで起こる歩きづらさ。階段を上るときや歩き始めなどに膝がガクッとなる膝崩れの症状は、痛みがないのであれば筋力低下が原因に考えられます。つまり、膝周りを鍛えることで、改善が見込める症状というわけです。

当院を受診された際、踏ん張りが利かないので下りの坂道が怖いをおっしゃっていた患者さまから、こんな話を伺いました。膝の治療後のリハビリで、太もも前側の大腿四頭筋を鍛えるようになってしばらくしてのこと。膝に力が入るのが実感できるようになり、坂道も不安なく歩けるようになったそうです。

治療効果も作用しているとは思いますが、真面目にリハビリされる方から同じようなエピソードをよく耳にします。

 

メリット4:バランスが良くなる

歩きにくいという膝の違和感

変形性膝関節症など、膝の痛みを患う人によく見られるのが、歩く際のバランスの乱れ。低下している筋力をカバーするためや、関節のアライメント(配列)不良の影響から、歩行の際に左右にふらふら揺らぐことがあります。この原因にも、膝周りのトレーニングは有効です。

例えば、膝の痛みやバランスの不安定さから、階段を下りるときには両脚揃えながら必ず一段ずつだった患者さまのケース。当院での膝の治療後、太もも前側の筋肉を毎日鍛えるようにされたところ、不安なく軽快に階段を下りられるようになったと、喜びをお話してくれました。

また、杖なしでは歩行が困難だった70代の女性が、膝周りなど下半身中心の筋トレに励まれること3ヵ月。杖なしでも不安なく、歩けるようになったケースもあります。

 

メリット5:姿勢が良くなる

姿勢がいい

メリット4のバランスの話でも少し触れましたが、姿勢良く歩くために必要な筋力が足りないと、人の身体は姿勢を崩すことでそれを代償しようとします。例えば、前傾姿勢での歩行も、太もも前側の筋力低下が原因のひとつ。こういった姿勢に関係する筋肉を鍛えることで、美しい姿勢に近づくことが期待できます。膝の痛みの軽減の副産物としても、よく見受けられる結果です。

 

膝を鍛えるときの注意点

注意点

膝を鍛えるメリットを知ってモチベーションをあげたところで、本題です。膝を鍛えようと思い立った人がもっとも気になること。それが、膝を鍛えることで、逆に膝を痛めてしまわないないか? ということではないでしょうか。 そうならないためにも、以下のことに注意を払いつつ行ってみてください。

まずは、膝にも準備運動が必要ということ。膝のこわばりや動かしづらさなどの違和感があるということは、筋肉の柔軟性が低下して硬くなっていることが考えられます。また、膝関節の拘縮も原因のひとつ。そんな状態を無視して、いきなり筋トレを始めるのは、膝にとってあまり良いとは言えません。関節液を潤滑させる運動やストレッチなどでウォーミングアップしてから、膝を鍛える主運動に入りましょう。筋トレ後は、クールダウンに再度ストレッチを取り入れることもおすすめです。

次に、膝はゆっくりと動かすこと。鍛える際に、膝を激しく動かすのはNGです。膝への負担が大きくなり、逆に痛めてしまいかねません。膝を動かす運動のときは、常にゆっくりと。呼吸も止めないで、力を入れるときには息を吐くよう意識しましょう。

そして、行うトレーニングでどこの筋肉を鍛えるのか、それをきちんと理解して筋トレの負荷がその筋肉にかかっていることを意識しないと意味がありません。一般的に使われている「膝を鍛える」という言葉を用いていますが、正しくは膝に関係する膝周りの筋肉を鍛えるということです。自己流になんとなく行ってしまうと効果得られないばかりか、膝を痛めることにも……。どの筋肉を鍛えるのか、なぜその筋肉なのか、それを理解していなければ、せっかくのトレーニングが無意味だったり、逆効果になってしまうこともあるのです。

さらに、膝に強い痛みや熱がある場合、膝が炎症を起こしている可能性があります。その際は、安静第一。鍛えるにしても、症状がおさまってからにしてください。気になるほどの症状がなくても、膝や筋肉に疲れが残っているのであれば、時間をおいても良いでしょう。膝を鍛える上では、休むこともときには必要です。また、痛みや熱があるときに限らず、とにかく無理をしないこと。膝の痛みを我慢してまで鍛えることはありません。できる範囲で、負荷も最初は小さいところから始めてみてください。

 

膝を鍛えるメリットを実現するためのトレーニング方法

それでは、お待たせしました! 実際に膝のトレーニング方法をご紹介しましょう。注意点でも言ったように、筋トレで膝を痛めることのないよう、ウォーミングアップをしてから膝を鍛えるトレーニングに入りましょう。また、正しい方法をしっかり確認して行ってください。動画も掲載しておくので、見ながら一緒にやるのもいいかもしれませんね。

 

ウォーミングアップ1:膝関節を動きやすくしておく体操

膝関節の潤滑や骨の運動性を高める目的の準備運動がこちら。注意点2の「膝はゆっくり動かす」を特に意識して行いましょう。

椅子に深く腰掛け、膝を2秒かけて伸ばし、2秒かけてまた曲げるという体操です。動きづらい場合は、動く範囲で構いません。この体操を単体で行う場合は、1日100回くらいを目標にしてもいいですが、20回を2セットなど、最初はできるところからで構いません。

 

ウォーミングアップ2:太もも裏をほぐすケガ予防の運動

太もも裏のハムストリングスが硬いと、膝の動きが悪く、ケガの要因にもなります。そのため、膝を鍛える前後には、しっかり伸ばし、ほぐしておきましょう。

ご紹介するストレッチ法は、多くの人が実際にやったことがあるのではないでしょうか。ただ、正しく行うためのポイントはご存知ですか? それは次の3点。

  • 上半身を前に倒すときは、股関節を折り畳むように。
  • 背中が丸まらないよう、姿勢をキープ。
  • 膝が曲がらないよう、上半身を倒す角度を調整。

です。そしてもちろん、太ももの裏が伸びていることを意識しながら行いましょう。

 

ウォーミングアップ3:骨盤の安定性を改善するストレッチ

膝を鍛えるメリットのひとつとして、バランスのところで歩行の安定性についてお話したので、そこにアプローチするストレッチもご紹介しておきますね。対象となるのは、太もも内側の内転筋群(ないてんきんぐん)。お尻の外側の筋力低下がヨタヨタと不安定な歩行に関係しますが、内転筋群が硬いことも原因のひとつなのです。

方法は、両脚を左右に大きく広げ、手は膝に、片方ずつ肩を内側に入れるというもの。意識するポイントは、つま先が正面を向くようにすること、太ももの内側が伸びていることを感じることです。

 

筋トレ1:膝の痛みを出にくくするためのタオルトレーニング

専門用語ではセッティングと呼ばれるもので、膝への負担も少ないので、人工関節置換術など膝の手術後のリハビリにもまず取り入れられる筋トレです。

用意するのは、どのご家庭にもあるいたって普通のバスタオル。これをコンパクトにたたんで丸めます。それを座って伸ばした片方の膝の下に。膝が伸び切る人は膝のお皿より太もも寄り、伸び切らない人はふくらはぎ寄りにタオルを置くとやりやすいですよ。このタオルをつぶすように膝を伸ばします。あくまで膝ではなく、前側の太ももに力を入れることが大切なポイント。力を入れるのは5秒ほど。これを10回3セット行いましょう。

 

筋トレ2:歩行のバランスを改善するためのトレーニング

歩く際に足をあげたとき、反対の骨盤が下がってしまう。ヨタヨタと不安定な歩き方「トレンデレンブルグ歩行」で起こる現象です。この原因のひとつに、お尻の外側にある中殿筋(ちゅうでんきん)や小殿筋(しょうでんきん)の筋力低下があげられます。股関節の安定を司るこれらの筋肉が衰えると、歩くときに骨盤を支えられなくなり、傾けることで負荷を逃がしているのです。

これらお尻の筋肉を鍛えるには、横向きに寝そべって足を上げ下げする筋トレがおすすめ。エアロビクスのイメージとしてよく見かけますが、ポイントを抑えている人は少ないかもしれません。それが、次の2点です。

  • スタート時の体勢を上から見た時に、頭・肩・骨盤・膝・足首が一直線になるようにする
  • 足を上げるときは、つま先が上を向かないようにする(かかとを天井に近づけるイメージ)

もちろん、足を動かすときはゆっくりと。3秒かけてあげ、3秒かけて下ろします。こちらも10回3セットが目安です。

 

筋トレ3:膝の安定性を高めるためのトレーニング

太もも内側の筋肉である内転筋群が弱まっていると、臀筋群同様、股関節や膝関節が安定しません。そのため、ヨタヨタと不安定な歩き方になる「トレンデレンブルグ歩行」の徴候が出たり、足を上げて片足立ちになったときに膝が外側にぶれる「ラテラルスラスト現象」などが生じます。安定した歩行に改善するために有効な筋トレというわけです。

方法は臀筋群のトレーニングと似ていますが、内転筋群では横に寝そべったときに下になる足を伸ばしたまま上げ下げします。足をあげる高さも、最初は10cmくらいからでOK。以下の点に注意しつつ、3秒かけてあげ、3秒かけて下ろす運動を10回3セット行いましょう。

  • 姿勢を崩さない(背中がまるまったりしないよう意識)
  • 膝が曲がらないようにする

 

膝を鍛えることを継続するには実現できる目標を

どこを、どのように鍛えるか、具体的にご紹介しましたが、ご紹介したようなメリットは一朝一夕に得られるものではありません。実際のエピソードでご紹介した方たちの中には驚くような改善を果たした方もいらっしゃいますが、それはご本人がとにかく頑張ったからだと思います。週に2〜3回を3ヵ月は継続したいところです。

言われなくても分かってる、問題は続けるためにどうしたらいいかだよ! という声が聞こえてきそうですが、最後にその点について以下の3つをご提案します。

  1. できる目標をたてる……まずはこなせる目標を立て「自分はできる」という成功を体験しましょう。
  2. 行動を記録する……カレンダーや手帳に記録して視覚化することで、コンプリート欲も刺激されるかも?
  3. 人に言う……SNSなどを使って発信することで見られている状況をつくってみるのもひとつです。

あとは、1週間できたら、2週間できたら、1ヵ月できたらなど、継続するごとに自分をほめてあげましょう。

 

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