ひざ痛チャンネル編集部
2018-08-14

膝のしびれは危険信号?違和感から知る体の異常とセルフケア

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膝のしびれは危険信号?違和感から知る体の異常とセルフケア

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膝の違和感の代表的な症状、痺れ(しびれ)。「ずっと膝がしびれてピリピリしているけど、痛みがないからまあ大丈夫かな」と、放置している人はいませんか? もしかしたら、その膝のしびれは、膝以外の部位の問題からくるものかも!?

そんな人は、今すぐこの記事をご覧ください。まずは、膝のしびれという症状が考えられる疾患について、膝を専門に診療する医師が紹介。続いて、膝のしびれを改善するための対処法を、メディカルトレーナーが原因別に分かりやすく解説します。なんとなくの対処でごまかすのではなく、自分の膝のしびれに対してどうすべきかを確認しましょう。

 

神経と血流が関係する膝のしびれ

膝のしびれ

足がしびれる理由としては、神経の圧迫や血行不良が考えられます。神経が圧迫されてその働きに支障を来すとしびれが生じますし、血行不良になると神経への血のめぐりも悪くなり、神経性のしびれを招いたり、ひどくなったりすることも。正座すると足がしびれるという人も多いと思いますが、まさに神経や血管を圧迫する姿勢だからです。そのため、膝を伸ばせば圧迫も解除されるので、しばらくすればしびれも治まりますよね。

問題は、慢性的な膝のしびれです。いつもしびれている、動く度にしびれを感じるということは、どこかにずっと神経の圧迫や血行不良の原因があるということ。膝にしびれが出ているからといって、膝に原因があるとは限りません。原因として多く見受けられるのが、腰の疾患、そして膝周辺の筋肉の緊張です。

 

<膝のしびれに関係する腰の疾患>

  • 椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)
  • 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
  • 腰椎すべり症(ようついすべりしょう)
  • 腰椎分離症(ようついぶんりしょう)

 

<膝のしびれに関係する筋肉>

  • 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
  • ハムストリングス
  • 腓腹筋(ひふくきん)

 

膝のしびれの原因①:腰の疾患

腰と膝、離れたところに位置する部位なのに、なぜ腰の疾患で膝にしびれが生じるのか。それには、背骨と神経が関係します。

背骨はいくつもの骨が、1列に積み重なるように連なっています。これを脊柱(せきちゅう)と言うのですが、それに伴走するように全身にめぐる神経が配置。つまり、脊柱になんらかの異常が出て神経を圧迫すると、離れた部位にもしびれや痛みといった症状が現れるというわけです。

下の図をご覧ください。膝に関係するのは脊柱の中でも、骨盤の一部となっている三角形の仙骨(せんこつ)と、そのすぐ上にある5つの骨からなる腰椎(ようつい)です。膝のしびれに関係する腰の疾患としては下記のものがあげられますが、右の図にあるように、それぞれ脊柱のどこに支障が出ているかで、膝裏なのか膝の前面なのか、神経障害が生じる位置は変わってきます。例えば、膝の前面ならL4あたり、膝裏のしびれであればL5〜仙骨のS2までのいずれかと考えられるでしょう。

背骨の種類と神経の及ぶ範囲

神経障害をもたらす次のような腰の疾患は、放置しておくと神経麻痺に陥ったり、最悪、寝たきりになるということも考えられます。そのため、症状が軽度なうちにきちんと治療しておくことが大切です。

 

足裏のしびれが生じることの多い「椎間板ヘルニア」

椎間板は背骨ひとつひとつの間に位置し、クッションの役割を果たしています。背骨の歪みなどで椎間板の中身とも言える随核(ずいかく)という組織が押し出される疾患が椎間板ヘルニアなのですが、それだけではしびれや痛みといった症状は現れません。この飛び出した随核が、すぐそばを通る神経を圧迫するために起こります。

多いのが座骨神経の圧迫で、腰からお尻を通って太ももの裏や膝裏、足の先まで通っている神経なので、下肢の裏側にピリピリとしたしびれやムズムズするなどの違和感、痛みなどの症状が出現。いわゆる、座骨神経痛というものです。診断時に「座骨神経痛ですね」と言う医師もいるので、これが疾患名と思っている人もいるかもしれませんが、座骨神経痛は症状名。そのため、次に紹介するような椎間板ヘルニア以外の疾患でも、座骨神経痛は現れます。

 

膝のしびれが歩くと起こり休むと治まる「腰部脊柱管狭窄症」

腰部脊柱管狭窄症では、膝のしびれや痛みが常に出ているわけではありません。動いていなければ痛みやしびれはなく、歩いたりすると出てくるケースがほとんど。太もも裏から膝裏のしびれや痛みで、歩きづらくなりますが、腰掛けたり、体勢を前屈みにして少し休むと症状は治まります。この間欠性跛行(かんけいつせいはこう)と言われる現象が、腰部脊柱管狭窄症の最大の特徴です。

原因は背骨の変形や椎間板の膨隆、靭帯の肥厚など。神経のトンネルとも言える脊柱管が、それらのトラブルによって狭くなり、神経が圧迫されてしまいます。脊柱管は背骨を反ると狭くなり、前屈みになると広がるようになっているので、説明したような間欠性跛行が生じるのです。背骨の変形、椎間板の肥大、靭帯の肥厚には加齢も関係しているため、中高年に多く見られます。

 

腰椎がずれてしびれが生じる「腰椎すべり症」

腰椎すべり症は腰部脊柱管狭窄症と症状が似ていて、間欠性跛行が見られます。安静時にはしびれや痛みはなく、ある程度の距離を歩くとその症状が現れるものの、しゃがんで休憩をとることで落ち着くというもの。腰の疾患ながら、腰痛を感じることが少ない点も同じです。

腰椎のいずれかの骨が、前か後ろにずれてしまう疾患、それが腰椎すべり症。ずれた腰椎が脊柱管の中を通る神経もろとも押し潰してしまうため、しびれや痛みが生じるのです。腰椎のずれは、加齢や女性ホルモンの減少で背骨が不安定になることで起こります。

 

膝のしびれが中高年まで続くことも「腰椎分離すべり症」

腰椎分離症はスポーツ選手に多く見られる疾患で、一般の罹患率が5%程度なのに対し、アスリートは30〜40%と言われています。というのも、腰椎分離症は腰を反ったり回したりする動きを繰り返し行うことで、腰のすぐ上にある背骨「腰椎」に亀裂が入って起こるからです。

10代前半の中学生時にスポーツの練習などで腰痛を発症する人が多いのですが、徐々に腰椎がずれて神経を圧迫するようになるケースも多く、これを腰椎分離すべり症と言います。そのため、腰椎分離症になったのは10代でも、その後すべり症を発症し、膝周辺のしびれや痛みが中高年まで続くということも少なくありません。

 

膝のしびれの原因②:硬くなった筋肉

筋肉が硬くなると、その間を走行している神経や血管は押し潰されるように圧迫されてしまいます。そのため、神経障害や血行不良に陥り、しびれが生じるというわけです。膝のしびれと言うよりも、膝関節の周りの筋肉で起こるしびれが膝まで及ぶという方が正しいかもしれませんね。

筋肉が硬くなる理由は2つ。筋肉の線維1本1本をラップしている筋膜の癒着と、筋肉の短縮です。筋肉を使わないとこういったことが起こり、筋肉が硬くなります。下半身の筋肉が硬いとマルユース(誤使用)から、けがの可能性がアップ。さらに筋力や柔軟性の低下からO脚やX脚などのアライメント不良(股関節から足関節までの配列の異常)が生じると、変形性膝関節症のリスクも高まってしまいます。そのため、筋肉に関してはしびれがあってもなくても、予防として日頃からケアを心掛けることが大切です。

膝関節にしびれが及ぶ筋肉としては、下記があげられます。

 

太ももから膝上のしびれに関係する「大腿四頭筋」

大腿四頭筋

大腿四頭筋は、太もも前側にある4つの筋肉の総称で、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)で構成されています。広範囲に及ぶ筋肉なので、膝の負担を軽減させる意味でも重要ですが、膝を伸ばす運動も担っているの筋肉です。そのため大腿四頭筋が硬くなると、太ももから膝上にしびれが生じる他、膝の可動域への支障も考えられます。

 

太ももから膝裏のしびれに関係する「ハムストリングス」

膝が伸びない原因のひとつハムストリング

太もも裏の3つの筋肉、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)からなるのが、ハムストリングスです。大腿四頭筋に並び、膝をサポートする上で重要な筋肉。膝を曲げる動きを担っています。ハムストリングスが硬くなると、太もも裏から膝裏にかけてしびれが出やすく、膝を曲げづらいという違和感を覚えることもあるでしょう。

 

膝裏からふくらはぎのしびれに関係する「腓腹筋」

膝が伸びない原因のひとつ腓腹筋

腓腹筋はふくらはぎの筋肉ですが、膝関節の裏まで伸びていて、膝を曲げる動作をサポート。つまり、腓腹筋での神経圧迫や血行不良が原因で膝にしびれが及ぶ場合、膝裏に生じることになります。

 

膝のしびれの検査方法

膝やその周辺のしびれがなぜ起きているのかは、まず整形外科医が問診や触診で原因を絞っていきます。例えば、下記に紹介するSLRテストやFNSテストなど。その後、腰の疾患が関係していると思われる場合は、レントゲンやMRIで詳細に調べていき確定診断となります。

 

膝を伸ばして持ち上げるSLRテスト

どの部分に痛みやしびれが出るか、動きによって再現して調べる検査方法です。SLRテストは下肢伸展挙上テストとも言います。方法は、足を伸ばした状態のまま上げていくというもの。この際、太もも裏から膝裏、ふくらはぎの外側にかけて症状が出た場合、腰椎の4〜5番の異常が疑われます。

一方で、0°〜30°くらいの挙上では、神経への影響は出にくい傾向に。重度の椎間板ヘルニアなどでは陽性となることもありますが、足を少し上げただけで鈍い痛みやしびれが生じるようであれば、ハムストリングスが硬くなっていることも考えられます。

 

膝を曲げて持ち上げるFNSテスト

こちらは、太ももから膝上や膝下といった、足の前側に症状を再現するテスト方法で、大腿神経伸展テストと言います。うつ伏せの状態で膝を90°に曲げ、足首を掴んで垂直に持ち上げるという方法。腰椎の1〜4番までの異常に反応する検査方法です。

 

腰の疾患による膝のしびれ解消法

紹介した腰の疾患の治療法には、保存療法と手術療法があります。保存療法で緩和されない、もしくは足に麻痺などの重度な症状が出ている場合は、それぞれの手術を選択することもあるでしょうが、多くは保存療法での治療。ロキソニンなどの消炎鎮痛剤や、神経の修復に作用するビタミンB12のメチコバールなどが処方されます。専用の器具で体を牽引して背骨を正す理学療法も併せて行われることが一般的です。また、麻酔薬で症状を一次的に鎮静させる、ブロック注射を行うこともあります。

ただ、家でもできる対処法を知りたいという人もいるでしょう。そんな方のために、腰の疾患におすすめのケア方法をご紹介します。

 

腰の疾患にオールマイティな「腹腔内圧トレーニング」

腰の疾患による神経性のしびれの場合、脊柱、特に腰椎に関わる筋肉を強化することで脊柱にかかる負担を減らし、症状の緩和につなげていきます。ただ、捻る動きは腰に過度な負担がかかるため、動きの少ない運動から始めることがポイント。障害が生じている腰椎の位置を問わず、腰の疾患全般におすすめできるのが、この腹腔内圧のトレーニング(腹圧トレ)です。腹圧とは文字通りお腹の中の圧力のことで、腹圧が適度にかかっていると脊柱にかかる負担が軽減されます。

 

腹圧トレーニングのやり方

  1. 仰向けの状態で膝を立て、足を腰幅に開きます。
  2. 腰を少し浮かせ、大きく息を吸ってお腹を凹ませます。手をお腹に乗せておくと良いでしょう。
  3. 次に、お腹を凹ませたまま、息をすべて吐き切ります。
  4. これを10回、1日3セットを目標に取り入れてみましょう。

 

硬くなった筋肉による膝のしびれ解消法

硬くなった筋肉をほぐすには、ストレッチが有効です。一人でもできるカンタンな方法をレクチャーしておきましょう。

 

膝上や膝下のしびれに「大腿四頭筋のストレッチ」

大腿四頭筋のストレッチの中でも、もっとも楽な姿勢でできる方法をご紹介します。テレビを見ているときや寝る前など、くつろいでいても可能です。

 

大腿四頭筋のストレッチ方法

  1. 座った状態で、片足の膝を外に折り畳むように曲げます。
  2. 体を後ろに少し傾け、両手をつきます。
  3. 太もも前面が伸びてることを感じたところで、20〜40秒キープ。膝を曲げた方のお尻が浮かないように意識するのがポイントです。
  4. 可能な人は体をもっと倒す、もしくは床に仰向けになるとより効果的です。ただし、腰が反らないよう注意しましょう。

 

膝裏や膝の外側のしびれに「ハムストリングスのストレッチ」

大腿二頭筋肉、半腱・半膜様筋、それぞれに効果的な方法をご紹介します。段差を使う方法もあるので、会社の休憩時間を活用して行うのもアリかもしれませんね。

 

大腿二頭筋のストレッチ方法

  1. ストレッチしない方の足を内側に折り畳みます。
  2. 伸ばした足の膝に手を当ててしっかり伸ばし、内側に少し倒します。
  3. 股関節を折り畳むように体を倒し、反対側の手で伸ばした足の小指を掴みます。
  4. 太ももの裏側が伸びているのを感じるところで、20〜40秒キープ。
  5. 足首が手前に曲がるように引き寄せると、より効果的です。

 

半腱・半膜様筋のストレッチ方法

  1. 段差の横に立ち、前方を向いたままストレッチをかけたい足を段の上に乗せます。
  2. 段に乗せた足全体を外側に倒します。膝はしっかり伸ばし、つま先を天井に向けましょう。
  3. 股関節を折り畳むように、体を前に倒していきます。
  4. 太ももの裏側が伸びているのを感じるところで、20〜40秒キープします。

 

膝裏からふくらはぎのしびれに「腓腹筋のストレッチ」

腓腹筋のストレッチは、準備運動でも広く行われているので、やったことがある人も多いのではないでしょうか。足を前後させて後ろ足の裏側を伸ばすという方法もそうですが、ここでは階段を使って気軽にできる方法をご紹介します。

 

腓腹筋のストレッチ方法

  1. 壁や椅子に手を置いて体を安定させます。
  2. 踏み台や階段から、かかとを外に出します。
  3. 膝が曲がらないよう意識しつつ、かかとを下に落としていきます。
  4. ふくらはぎが伸びているのを感じるところで、20〜40秒キープします。

 

膝のしびれの原因を病院で確定診断

膝のしびれについて、今回はもっとも多い腰と筋肉の原因に絞ってお話してきました。テスト方法なども交えて、腰の疾患によるしびれか、筋肉の硬さによるしびれか、検討をつけることもできるでしょう。ただ、きちんと治療して膝のしびれや痛みを解消するのであれば、病院での確定診断が必要です。脅かすわけではありませんが、もしかしたらしびれという症状に、動脈硬化や脳梗塞などの病気が隠れていることも考えられます。だからこそ、もし膝やその周辺のしびれが1週間以上続いているようなら、整形外科などを受診して確定診断を行うことをおすすめします。

痛みはなくても、しびれという原因のはっきりしない違和感が膝にあると、やはり不安なもの。そういうストレスがしびれを悪化させたり、痛みにつながったりすることも考えられます。まずは原因をつきとめ不安を和らげることから、膝のしびれの治療は始まるのです。

 

 

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