ひざ痛チャンネル編集部
2017-09-05

【膝に水がたまる病気一覧】医師が教える自覚症状や家でできる対処法とは?

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【膝に水がたまる病気一覧】医師が教える自覚症状や家でできる対処法とは?

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「膝に水がたまっている」とは、よく耳にするフレーズではないでしょうか。これは関節水腫(かんせつすいしゅ)と呼ばれる症状ですが、なぜ起きるのか、もっと言うと「水」の正体が何なのか、ご存知でしょうか?

この記事では、膝の水がどういう異常を伝えているか、たまってしまったらどうすべきなのか。原因から治療法まで、詳しく解説しています。今まさに水がたまっている方も、これって水がたまってる?という自覚症状に不安な方も、この記事を読めばどうすればいいかがわかるはずです。

 

膝の水の正体とは?

膝にたまる水は関節滑液

膝関節は、太ももの骨とすねの骨をつないでいる箇所です。この膝関節を包んでいる袋(関節包)の中に存在している液体を関節滑液と言います。一般的に関節液と呼ばれているこの滑液は、関節をスムーズに動かす重要な役割を担っており、いわば潤滑油のようなもの。実は、この滑液こそが膝にたまった水の正体なのです。つまり、人間だれしも膝に水は存在しています。水がたまる、というのは、何らかの原因で滑液が増えすぎてしまった状態を指すのです。

原因とは、ずばり関節内の炎症です。健康な膝関節では、古い滑液は自然にリンパ管へと吸収され、関節包の中の滑液の量は一定に保たれます。ところが、滑液が異常に分泌されると吸収が追いつかなくなり、関節包にたまっていきます。この現象が起こるのは、膝関節が炎症を起こしているとき。膝関節内ですり減った軟骨がはがれ落ち、関節包の壁である滑膜を刺激することで起きるケースが考えられます。滑液はこの滑膜から分泌されていますが、炎症を起こした滑膜は正常に機能することができません。滑液を過剰に分泌してしまい、関節に水がたまるのです。健康な膝だと関節液は0.5ccほどと言われていますが、多いケースだと50ccもたまることがあります。

<膝に水がたまった関節水腫のMRI解説>
MRI画像では、関節内にたまった水は白く映し出されます。また、関節水腫だと関節液をつくり出す滑膜(かつまく)も発達していて、その状態もMRIで確認できます。

 

自覚症状は「ぶよぶよ」「熱や腫れ」「痛み」

健康な膝関節では、古い滑液は自然にリンパ管へと吸収され、関節包の中の滑液の量は一定に保たれます。ところが、滑液が異常に分泌されると吸収が追いつかなくなり、関節包にたまっていきます。この現象が起こるのは、膝関節が炎症を起こしているとき。膝関節内ですり減った軟骨がはがれ落ち、関節包の壁である滑膜を刺激することで起きるケースが考えられます。滑液はこの滑膜から分泌されていますが、炎症を起こした滑膜は正常に機能することができません。滑液を過剰に分泌してしまい、関節に水がたまるのです。

膝に水がたまると起こる自覚症状としては、下記のようなものが考えられます。

  • 膝の痛み
  • 腫れや熱を持つ
  • 膝のお皿がぷかぷか浮いたような感覚になる

炎症が強い場合、風邪のように微熱が出ることもあるでしょう。疑わしい場合、下の画像のように、腫れた膝の膝蓋骨(お皿の部分)を軽く押してみてください。水がたまっている場合、ぶよぶよした感触があるはずです。

膝に水がたまったときの診断方法

片方の手で膝のお皿をおさえて膝下方向に圧迫し、もう片方の手で膝を触ってみる

 

膝関節の炎症の原因は、病気やケガ

膝関節に炎症が起きる原因としては、主に膝の病気が考えられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。

変形性膝関節症

膝関節にある二つの骨の表面は、軟骨という組織で覆われています。膝に加わる衝撃を和らげるクッション機能が、軟骨の一番の役割です。変形性膝関節症とは、加齢や外傷といった何らかの影響でこの軟骨がすり減り、骨と骨とが直接ぶつかり合ってしまう疾患。膝関節内で炎症が起き、水がたまりやすくなるのです。
通常、関節液は無色か薄く黄味を帯びていて透明です。変形性膝関節症でたまった水は、透明ではあるものの黄味が少し濃くなるのが特徴です。

[詳細] 国内3000万人が患う膝の痛み「変形性膝関節症」その正体とは

関節リウマチ

関節リウマチとは自己免疫疾患のひとつ。身体に入ってきた悪い細菌やウイルスをやっつけるはずの免疫細胞が異常をきたし、誤って自分の細胞や関節を攻撃して炎症を起こす病気です。身体中のあちこちの関節で水がたまりやすい状態となります。過労やストレス、喫煙がきっかけと考えられていますが、現在のところはっきりとした原因は分かっていません。
関節リウマチによってたまった膝の水は、透明度が落ちて少し濁ってる傾向にあります。

[詳細] 発症後の2年がカギ!関節リウマチの症状と治療前の基礎知識

関節内遊離体(関節ねずみ)

可愛らしいネーミングですが、症状はちっとも可愛くありません。膝関節に大きな負担がかかり続けると、クッションの役割をしていた軟骨が欠けてしまうことがあります。その軟骨片が膝関節内をねずみのように動き回るため、関節ねずみと呼ばれるようになりました。関節内の組織が傷つき炎症が起きると、水たまりの原因となります。

痛風

足の指が痛くなるイメージの痛風ですが、膝関節に痛みが出ることもあります。痛風とは、体内の尿酸(プリン体が分解された後に出される物質)が過剰になった際に発症する病気です。血液に溜まった尿酸はナトリウムとくっつき、結晶となって関節にたまっていきます。この結晶は、身体にとっては異物。血液中の白血球が退治に乗り出します。その際に炎症性の物質を出すため、関節に炎症が発生し、水がたまるのです。
結晶が混ざると関節液は透明度が落ちてしまうため、痛風でたまった水は濁っていることが多いと言えます。

偽痛風

痛風とは異なり、ピロリン酸カルシウムの結晶が沈着して関節で炎症を起こすのが、偽痛風。ピロリン酸カルシウムという物質が関節部分にたくさん存在していると、結晶や沈着が起きやすくなり、発症する疾患です。はっきりとした原因は解明されていませんが、高齢者に多いことから、加齢が危険因子と考えられています。また、遺伝や腎機能障害、半月板手術などが関係している可能性も示唆されています。
痛風同様、結晶が関係するため、偽痛風の場合も膝の水が濁っている傾向にあります。

[詳細] 膝の激痛「偽痛風」とは?症状や段階別の治療法を解説

激しい運動や怪我

歩いたり、走ったり、跳んだりと、運動する際に必ず使うのが、膝。怪我をしやすい部位なのです。特に、加齢や運動不足で筋力が衰えている方が急に膝を酷使したとき、炎症を起こすケースが多いように思います。交通事故や転倒で膝を強打し、炎症を起こすケースもあります。

 

治療法

膝に水がたまったときの治療法

いざ膝に水がたまってしまったとき、どんな治療法が効果的なのでしょうか。現在の選択肢としては膝の水を抜く、薬物による治療、手術による治療、再生医療による治療といったもの。それぞれ詳しく見ていきましょう。

水を抜く

膝関節に水がたまっているから腫れが起き、痛みがあるわけです。ですから、ひとまず抜いてしまうのも、ひとつの治療法と言えます。一般的な注射器を使って水を抜き取ると、腫れも引き、圧迫されていた血流が元に戻るため、ある程度痛みも治まるでしょう。しかし、ただ水を抜けば完治、というわけでないことを忘れてはいけません。炎症を抑えるために水がたまっていたわけですから、炎症を治す根本的治療が必要なのです。

「水を抜くとクセになる」といった話、よく耳にするのではないでしょうか。確かに水を一気に抜いてしまえば一旦楽にはなるでしょう。しかし、それだけでは大元の炎症を抑えることはできないため、再発の可能性が高くなります。そうして水を抜くという行為を繰り返してしまいます。これが「クセになる」と思われている原因です。水を抜くこと自体に、リスクはありません。

膝の水は滑液であり、身体に悪いものではありません。炎症が治まればたまることはなくなります。よって無理に抜きとるより、炎症を起こしている膝の治療を行う方が良いと考える医者もいるのです。

薬物による治療

繰り返しになりますが、膝に水がたまっているのは膝関節に炎症が起こっているからです。なによりもまず、この炎症を抑えましょう。関節リウマチや痛風であれば内服薬で炎症を抑えられます。

外傷性による膝関節の炎症であれば、効果的なのが注射による薬物治療。鎮痛効果と炎症抑制効果を持つステロイド剤が有効です。しかし、頻回な使用には副作用のリスクや、軟骨破壊を助長してしまうリスクが伴います。薬物治療で効果が見られない場合は、手術による治療を検討しても良いかもしれません。

手術による治療

薬物治療で症状が治まらない場合、膝関節の変形や損傷が激しいことが考えられます。原因を取り除く手術が必要になるでしょう。

現在の主流は、関節鏡(内視鏡)手術です。膝に数か所の小さな穴を開けて細い関節鏡や手術器具を挿入し、モニターを通して手術を行います。関節内遊離体(関節ねずみ)の原因である損傷した軟骨のかけらや、変形性膝関節症によって欠けた骨の破片を取り除くことができます。膝を大きく切開しないため、身体への負担が小さいところが特長と言えるでしょう。

再生医療による治療

現在、注目を浴びている新治療です。まだ保険適用になっていない先進医療ですが、様々な効果が期待されています。

例えば、自身の脂肪組織の中にある幹細胞を取り出して培養し、膝関節に注入する培養幹細胞治療。特筆すべきは、この幹細胞に抗炎症や疼痛抑制の作用があること。膝を切開せず行うため入院が必要なく、施行後には歩いて帰ることができます。

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自分でできる対処法

膝に水がたまったときの対処法

膝に水がたまったときに、自分で簡単にできる対処法をご紹介します。アイシング、湿布を貼る、サポーターを装着する、マッサージをする、あくまで、自分で出来る範囲での対処法です。必ずその後、病院で受診をしてください。

アイシング(クーリング)をする

炎症を抑えるには冷やすのが有効。まずは、保冷剤(アイスノンなど)や氷嚢(ひょうのう)で冷やしてみましょう。炎症が起きていると考えられる場合は、温めるのは禁物です。

湿布を貼る

「冷やすために冷湿布を」を説明しているサイトを見受けます。でも実は冷湿布、ヒヤッとはしますが、炎症を冷やす効果まではさほど期待できません。ただ、消炎鎮痛の目的では効果的です。

また、何枚も貼ると接触性皮膚炎などのリスクが懸念されます。患部に1枚で十分なので、貼り過ぎにご注意ください。

サポーターを装着する

サポーターの着用も効果的です。サポーターで膝を固定することで、関節にかかる負担を軽減することができます。よって、痛みや炎症を抑えることが可能です。しかし、膝が熱を持っていて痛みが強いとき、サポーターは控えましょう。関節内で強い炎症が起こっていることが考えられ、無理に固定することで症状が悪化する可能性があります。そのときは、まず氷嚢(ひょうのう)などで冷却するのが良いでしょう。

マッサージ

マッサージをすることで血液循環が良くなり、痛みの軽減が期待できます。ただし、痛む膝を直接マッサージするのは悪化の原因になるため、控えましょう。効果的なのは、太ももを優しく揉むようにするマッサージです。

放置

実はこれ、絶対にダメというわけではありません。もちろん放置し続けるのも良くありませんが、素人判断で間違った処置を行ってしまうより、安静を保ちつつ病院へ行く方が結果的に良い場合もあるのです。

 

どの病院に行けばいいか

膝に水がたまったときに行く病院の選び方

膝に水がたまった際には、どのような病院を選んで受診すれば良いのでしょうか。

①整形外科

膝の治療を行う専門の科、整形外科がある病院を必ず選びましょう。整骨院でもいいのでは、と思う方がいるかもしれませんが、整骨院では検査・投薬は行えません。まずはレントゲン検査などが行える整形外科を受診し、自身の病状を知りましょう。

②膝の専門医がいる病院を選ぶ

整形外科医にも得意な分野があります。膝の治療を専門的に行っている病院を選ぶといいでしょう。もしくは膝の治療経験が多い病院であれば、より良い治療を受けることができるはずです。

③自宅から近い

上記を踏まえたうえで、自宅から近い病院の選択をおすすめします。膝に水がたまっている場合、定期的な受診が必要になります。膝の痛みを抱えて、遠い病院へ頻繁に通えるでしょうか。なかなか難しいですよね。家から近ければ、急な症状が出た際にもすぐに受診が可能ですし、一回にかかる通院の負担も少ないのです。

 

膝の水は異常のサイン

膝に水がたまるのは、そこに異常が潜んでいるなによりの証拠。あなたの膝の症状に当てはまるものはありましたか? 一つでもあったのなら、まずなにより病院での受診をお勧めします。

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