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ひざ痛チャンネルでは、膝に痛みが生じているという40〜60歳の男女112名にアンケートを実施。そこから、その痛みで趣味や生活、仕事などに不自由を感じている人が半数以上いることが分かりました。しかしながら、病院を受診している人は4割弱。多くの人が、病院に行くことを考えていない、もしくはためらっているようです。
それは何故なのか。一方で病院を受診した人はどのくらいの痛み、どのくらいの期間で行動に移しているのか。アンケートから得られた回答も交えつつ、膝が痛くなったらどのくらいで病院に行くべきか、対応が遅れることのリスクも考えてみました。受診を迷っている人は、きっと参考になるはずです。
膝の痛みで病院へ「早く受診すれば良かった」が4割
膝の痛みを感じている人のうち、病院を受診した人は36.6%。そのうち17.9%が、痛みが生じてから2週間以内に受診しています。そのこともあってか、受診のタイミングについての質問では「ちょうど良かったと思う」という回答が多く、48.8%でした。
ただ、気になる点もあります。「もう少し早く受診すれば良かった」という後悔の回答が、43.9%もを占める点です。理由として伺えるのが「病院で治療しても、なかなか改善しなかったから(61.1%)」というもの。つまり多くの人が、もっと早くに治療を受けていればすぐ良くなったのでは……と感じているとも読み取れるのです。
膝がどれくらい痛くなったら病院を受診するものなのか?
病院を受診しようと思った理由に関する回答で、もっとも多かったのは「長い間、症状が改善されないから」で29.3%。その間に、マッサージやサプリメントなどでセルフケアを行っている人もいるようですが、それでは改善が見込めないと受診する人もいるようです(17.1%)。ひざ痛チャンネルでも、ご自宅でできることのご相談がよく寄せられますが、まずは人に頼らず自分でなんとかしようという、日本人の真面目な性格が現れているのかもしれません。その結果、痛みに耐えられなくなるまで我慢される人も多く(22.0%)、それが前述の「もう少し早く受診すれば良かった」という回答にもつながっているようにも考えられます。
膝の痛みの度合い、自己判断は危険?
一方で、膝に痛みを感じつつも病院を受診していない人は、63.4%と半数以上を占めています。確かに、膝が痛いと言っても、その程度には個人差があります。違和感レベルの痛みかもしれません。生活に支障がなければ、病院に行く時間もお金ももったいないと思うのも理解できます。実際にアンケートでも、受診しない理由としては「病院に行くほどの症状とは思わないから」がほとんどで、84.5%。また「時間がかかる」「お金がかかる」などの回答も一定数見受けられました。
ただし、病院で治療を受けた人のうち、意外と多くが遅い受診を後悔しているのも事実です。受診されていない人も、病院にいくのは「痛みを我慢できなくなったら(39.4%)」「長期間、症状が改善しなかったら(26.8%)」と考えているようですが、それでは同じ後悔をしかねません。さらに言えば、いま感じられている膝の痛みは、本当に病院に行くレベルではないのでしょうか? けがなどでもなく原因がはっきりしない膝の痛みには、ある病気が潜んでいることがあるのです。
痛みの原因が変形性膝関節症である可能性
病院で診断された膝の痛みの原因について質問したところ「加齢によるものと言われた」人が多く34.1%を占めていました。ただ、この加齢によるものというのがくせ者。加齢だから仕方ないと思う方も少なくないのですが、だからといって放置すると、膝の痛みは悪化する可能性があります。その理由のひとつが、変形性膝関節症です。実際に診断された人は29.3%ですが、加齢という説明の中には、変形性膝関節症の予備軍が含まれていることも考えられます。
40代以降の膝の痛みに多い変形性膝関節症とは?
40代以上の方を対象としたアンケートなので、膝の痛みの原因が変形性膝関節症であったり、加齢によるものなのは当然かもしれません。なぜなら、変形性膝関節症は高齢になるほど罹患率(病気を患っている人の割合)が高くなるのが特徴だから。厚生労働省の発表では、国内の変形性膝関節症の患者数は推定3,000万人、そのうち膝の痛みを伴うのは1,000万人とされ、長寿大国の日本では、もはや国民病とも言える膝の代表的な疾患なのです。
進行する変形性膝関節症
変形性膝関節症の代表的な症状は、膝の痛みです。最初は歩くときや立ち上がるときなど、動き出しに痛む程度で、しばらくすれば治まる傾向にあります。ただ、膝にかかっている負担が軽減されなければ、変形性膝関節症は進行することに。
関節内で負荷を吸収するクッションの役割を担う軟骨がすり減り、その影響で滑膜(かつまく:関節を覆う組織の内側の膜)が炎症。膝の痛みは強くなります。階段の上り下りがつらくなったり、痛みだけでなく膝に水がたまるという症状が現れることもあるでしょう。最終的には軟骨だけでなく、半月板や骨自体もダメージを来たし、関節が変形。こうなると、日常生活も痛みや歩きづらさからままならなくなってしまいます。それだけに、早期発見と治療がとても重要なのです。
変形性膝関節症は原因となる危険因子が様々
通常、病気であればその発症原因となっているものを解消する治療を行いますが、変形性膝関節症は原因となる因子が様々考えられるため、そう簡単にはいきません。加齢が関係していることはすでに触れましたが、それだけではないのです。
例えば、膝にかかる体重などの負荷は本来、筋肉のサポートで軽減されています。そのため、筋力が衰えれば膝への負担は増。加齢による筋力低下もひとつありますが、運動不足が影響すれば、それほど高齢でなくても変形性膝関節症を発症することは考えられます。また、膝への負担という意味では、肥満も危険因子です。膝関節には、立っているだけでも体重の2倍以上の負荷がかかっているとされています。もちろん、走ることや階段の上り下りで、その負荷はさらに高まることに。その他にも、女性であること、O脚であること、過去に膝のけがを経験していること(前十字靭帯損傷や半月板損傷など)、さらには遺伝子が関係するとも言われています。
末期になれば手術することも
変形性膝関節症は、これらの要因が複数影響して発症しているため、治療も様々な視点からのアプローチが必要です。初期であれば、痛みを緩和する薬物療法(内服薬やヒアルロン酸注射など)に、原因と考えられる筋力や体重などへのアプローチとして運動療法や生活指導を併用する、保存療法を行います。ただ、薬でコントロールできないほど痛みが強くなったり、関節の変形が顕著になってしまっては、それでは対処できません。そのため、手術療法を検討するに至ります。
変形性膝関節症の手術は3種類。軟骨の毛羽立ちや半月板の変性を整える関節鏡視下手術、金属パーツで関節の傾きを修正する高位脛骨骨切り術、そして膝関節を人工のインプラントに置き換える人工膝関節置換術です。
関節鏡視下手術は、膝の切開が小規模で済みますが、処置も小規模なので膝関節の変形が進んでいれば大きな改善が見込めません。一方で、高位脛骨骨きり術や人工膝関節置換術は、膝を大きく切開する手術。入院や、術後歩けるようになるまでにリハビリも必要です。そういった不安から、もう保存療法は効かなくなっている膝の状態ながら、手術という治療法を選択できず痛みを我慢されている人もいらっしゃいます。もしかしたら、アンケートの「もう少し早く病院を受診すれば良かった」という回答の中にも、このような理由から後悔されている人が含まれているかもしれません。
変形性膝関節症を知って早期発見・治療を
病院を受診していない人に「変形性膝関節症という疾患をご存知ですか?」と質問したところ、「名称もどんな疾患かも知っている」と回答したのは、たった8.5%でした。つまり、ほとんどの人がこの疾患が自分事であることを知らない可能性があるのです。
しかしご説明したように、変形性膝関節症は多くの人が心当たりのあるであろう、身近な要素が危険因子となっています。変形性膝関節症について知っていれば、膝の痛みが耐えられなくなってからの受診では遅いかもしれないという考えに至るでしょうが、知らないからこそ「病院に行くほどの痛みではない」と判断するのかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、変形性膝関節症は40代以降の方に特に注意いただきたい膝の疾患です。そして、放置すれば進行してしまい、膝の痛みはどんどん強くなってしまいます。それを防ぐには、早期発見と初期段階での治療が大切です。
膝の痛みを限界まで我慢するのではなく、まずは病院を受診し、膝の痛みが何によるものなのか、原因を知ることから始めましょう。100歳時代と言われる現代、健康寿命(医療や介護に頼らず自立して生活できる期間)を伸ばすためにも、膝の健康を守ることは必須。そして、それを左右するのは、あなた自身の判断なのです。
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【アンケート概要】
調査対象:膝に痛みを感じている112名(男性56名/女性56名)
調査方法:インターネットを使用したアンケート