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近年、よく耳にするようになった「ロコモ」という言葉。あなたはその意味を知っていますか? 膝関節の痛みにも深く関係するこの言葉。知らない人もご安心ください。このコラムを読んで、一緒に健康寿命を伸ばしましょう!
ひざの痛みにもつながる「ロコモ」とは?
「ロコモ」とは「ロコモティブシンドローム」の略称です。ロコモティブシンドロームとは「運動器症候群」のこと。身体を動かすのに必要な骨や筋肉、関節、神経などといった運動器は、加齢に伴い衰えたり、障害が起きたりすることで、骨粗しょう症、筋力の低下、関節や脊髄の病気などにつながります。
このように、運動器が障害を受けている状態のことをロコモティブシンドローム=ロコモと言います。厚生労働省は、このロコモティブシンドロームの認知と防止の呼びかけに力を入れています。
ロコモは寝たきりのリスクを表す
実はこのロコモ(ロコモティブシンドローム)は、寝たきりや要介護になる可能性の高い状態を指す言葉。実際に日本は、平均寿命が男性80歳、女性86歳なのに対し、健康寿命は男性71歳、女性76歳と、その差が約10年もあることが統計(2015年段階)で分かっています。つまり、寝たきりで過ごす期間が10年にも及ぶという恐ろしい現状……。
この由々しき事態に、厚生労働省は多くの人々がロコモを意識するよう取り組んでいます。自分の要介護のリスクを減らすためにも、ぜひ早いうちから意識するようにしましょう。
ロコモと関係の深い病気
特に、ロコモ(ロコモティブシンドローム)に関係が深い疾患としては、次のような関節や骨の病気があげられます。
変形性膝関節症
加齢や肥満、スポーツ外傷などの影響で軟骨がすり減り、痛みや腫れ、水がたまるなどの症状が生じる膝関節の病気。進行すると膝が変形してまっすぐに伸びなくなり、歩行が困難になることも少なくありません。日本人はO脚に変形するケースが多いです。
変形性腰椎症
加齢などの要因から腰椎が変形し腰痛が起こる病気。骨だけでなく筋肉も含め、お尻や太股にまで痛みやだるさが生じることもよくあります。進行すると後ろに反った状態になったり、立っているのが困難になることも。
骨粗しょう症
50歳以上の女性3人に1人がわずらっていると言われる骨の病気。骨密度の低下から骨の強度も弱まり、手をついたりくしゃみをしたりするだけでも骨折しやすくなります。自覚症状がないことも特徴のひとつです。
ロコモは大人だけの問題じゃない!
現在、ロコモ(ロコモティブシンドローム)は予備軍を含めると、4700万人ほどもいると言われています。その多くが50歳以上ではありますが、ロコモは決して大人や高齢者だけの問題ではないというのが、また恐ろしいところ。食生活の乱れや痩せすぎ、運動不足などが影響して、子供たちにもロコモに該当するような、骨や筋肉が弱くなってきているという傾向が出てきているのです。
あなたは大丈夫? 今すぐロコモかチェックする方法
ロコモ(ロコモティブシンドローム)を知ると、自分は大丈夫なのか心配になりますよね。そんな方は「ロコチェック」をやってみてください。
ロコチェックとは、その名の通り「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」かどうかを簡単に調べられるチェック診断のこと。次の7つの項目に1つでも当てはまってしまうと、ロコモの心配があるとされています。
1つでも当てはまると要注意! ロコチェック診断
- 家の中でつまずいたり滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要
- 続けて15分くらい歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
- 片脚立ちで靴下が履けない
- 2kgくらいの買い物を持ち帰るのが困難
- 掃除機や布団の上げ下ろしなど、やや重い家事が困難
膝痛にも関係するロコチェックで該当が多い項目
このロコチェックで該当者が多い項目はどれなのでしょうか? 一般財団法人 運動器の10年・日本協会が2015年5月に行った、全国の20代から60代以上の男女1万人を対象とした調査において、ロコチェックで「あてはまる」と回答された上位3つは次のものでした。
1位:家の中でつまずいたり滑ったりする(15.3%)
2位:片脚立ちで靴下が履けない(13.4%)
3位:階段を上るのに手すりが必要である(11.2%)
こちらすべて、膝が痛い人なら当てはまるであろう項目……。それだけロコモ(ロコモティブシンドローム)と膝関節は密接な関係にあることを改めて認識できます。
性別は? 年齢は? ロコチェックの詳細データ
調査結果をもう少し詳しく見てみましょう。
まず、1位だった「家の中でつまずいたり滑ったりする」については、男性12.8%、女性17.5%と女性の方がやや多いという結果でした。年齢別では年齢が上がるごとに該当者が増えると思いきや、興味深い結果が。最も少ないと思われる20~29才男性が14.0%と、60~69才男性の14.3%とほぼ変わらない結果になっていたのです。さらに、30~39才の女性も17.4%と意外と多い結果になっていました。同世代の30~39才の男性は9.8%だったことから、女性のほうが比較的若いうちから徴候が見られるようです。
2位と3位の「片脚立ちで靴下が履けない」と「階段を上るのに手すりが必要である」については、男女共に60代と70代に多く、「片脚立ちで靴下が履けない」については、50代男女にも多く見られました。
この結果を見ると、やはり若いうちからロコモ(ロコモティブシンドローム)の徴候が出ていることが分かります。
生活に取り入れたいロコモ体操
ロコモ(ロコモティブシンドローム)の予防や改善が期待できる体操として、「ロコモ体操」というものがあります。なかでも膝痛の人におすすめのものをご紹介するので、ぜひ毎日の生活でやってみてください。入浴後など体が暖まっているときが効果的ですが、オフィスや電車の中でも気づいたときにやるというのも、続ける秘訣ですよね。
膝痛のロコモ体操1:膝を伸ばす
- 背筋を伸ばして、椅子に浅く腰かけます。
- 片足を前方に出し、かかとをつけたままつま先を上げます。
- 膝の皿に片手をそえて、痛くない範囲でゆっくり膝を伸ばします。そのまま15~30秒程度キープしましょう。
- これを左右各1~3回ほど行います。
膝を伸ばすロコモ体操に期待できる効果
- 膝の痛みの改善
膝痛のロコモ体操2:太ももを伸ばす
- 地面に両足を広げて座ります。
- 背筋を伸ばしたまま体を片足側へゆっくり倒し、太ももの裏を伸ばします。そのまま10秒程度キープしましょう。
- この動きを左右両方、無理のない回数行います。
太ももを伸ばすロコモ体操に期待できる効果
- 膝の痛みの予防
- 太もも裏の筋肉を鍛える
膝痛のロコモ体操2:つま先の上げ下げ
- 椅子に浅めに腰かけ、両足を肩幅に開きます。
- 両足のつま先を同時に上げて、そのまま2~3秒キープ。このとき、かかとは地面につけたままにしましょう。
- つま先を下ろします。
- 2と3の動きを5回~15回程度繰り返します。
つま先上げ下げのロコモ体操に期待できる効果
- 膝の痛みの軽減
- 筋力低下の予防
- 転倒予防
意外と知られていないロコモを広めよう
ロコチェック調査を行った「一般社団法人 運動器の10年・日本協会」は、他にも興味深い調査報告を発表しています。そのひとつが、2015年4月~5月に行われたロコモ(ロコモティブシンドローム)に関する認知度調査。つまり、ロコモという呼び名やその意味がどれだけ知られているのかということを調べています。
この調査は、全国の20代~60代の男女1万名に対して行われました。ロコモについて、言葉だけは聞いたことがあるという「認知」の人の割合は44.4%、言葉の意味まで知っている「理解」の人の割合は18.3%でした。意外と多くの人が言葉を聞いたことはあるようですが、意味まで知っている人はその半分にも満たない結果となりました。
この調査から約2年が経過していますが、その状況に大きな変動はないように感じています。ぜひこのコラムで知ったことなどあれば、周りの人にも話してみてください。きっとそれが、日本の健康寿命を伸ばすひとつのきっかけになると思います。