Warning: Undefined variable $author_name in /home/cytokine2/knee-pain.jp/public_html/wp-content/themes/xeory_base_knee-pain/functions.php on line 1221
膝が痛いと言っても、原因は様々。筋肉だったり、靭帯だったり、はたまた関節内だったり……。原因をきちんと見極められなければ、適した治療はできません。そのため、整形外科医は診察時の質問の端々に、原因を推理するチェックポイントを置いています。
整形外科にかかったら、誰でもされたことのある7つの質問。実は、その裏でドクターがこんな推理をしていたのです。
こんな質問への答えから膝痛の原因を推理
膝痛で病院を受診したあなた。そこへやってきた整形外科医は、きっと次のような質問をするでしょう。そこから様々な膝の病気や疾患の可能性を探るのです。
膝痛の原因を探る質問1「いつから痛くなりましたか?」
だいたいのドクターがまず質問するのが、痛み出したきっかけについて。正確には、いつから、どこが、どのように、なぜ、どのくらい痛くなったのかという5W1Hの質問をします。
5W1Hからこんな膝痛の原因を推理
例えば、痛みが長年続いていて徐々に悪化しているような場合は、変形性膝関節症(軟骨へのダメージで関節内が炎症し、痛みが生じる膝の病気)などの慢性疾患を考えます。また、転倒やスポーツ中など日常生活での受傷で急に激しい膝の痛みを覚えたのなら、外傷による骨折や半月板損傷、靭帯損傷が考えられます。
膝痛の原因を探る質問2「どんなときに痛みますか?」
膝が痛み出したきっかけを確認したら、次はどんなことをしたら痛むかを確認します。どんな動作や体勢で、膝の内側か外側か、はたまた膝裏か、どの部分が痛むのか。また、動きはじめなのか、長時間歩いた後なのかなどでも原因を探る上での手掛かりになります。
状況からこんな膝痛の原因を推理
立ち上がりや歩き始めといった初動、階段の昇り降りなどで膝に痛みを覚えるのは変形性膝関節症の症状のひとつです。また、「長時間歩いていると足全体が重くなって、休まないと歩けない」と症状を訴える方も見受けます。このようなケースでは、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう:骨や椎間板、靭帯などの変形で神経が圧迫される腰の病気)が推理されます。
これらの疾患は痛む箇所からも推測できます。例えば、変形性膝関節症の人だと内側や外側、裏側など局所的な膝の痛みを訴えますが、腰部脊柱管狭窄症の人は足の広い範囲の重だるさやしびれを訴える方が多いのです。
また、前十字靭帯の損傷のある場合は、階段を降りるときや足を踏み込むときに膝がずれそう、抜けそう、怖いなどの感覚を覚える方もいます。
膝痛の原因を探る質問3「どんな運動をしてきましたか?」
長年続けてきた運動が膝に負担をかけていないか、それが膝痛を引き起こしていないか探ります。また、同時に過去のスポーツでの受傷歴も推理ポイントとして確認します。
運動例からこんな膝痛の原因を推理
変形性膝関節症は高齢者に多い膝の病気ですが、膝に負担をかけ続けることで、若くして発症する人もいます。
また、スポーツ中の主な受傷のひとつに半月板損傷がありますが、これも変形性膝関節症のきっかけに。また、本人は捻挫(ねんざ)だと思って放置していたけれど、実は靭帯を損傷していて膝痛を引き起こしていた、なんてことも実際の診療では見受けます。
膝痛の原因を探る質問4「どんなお仕事をしていますか?」
こちらも運動歴同様、膝に負担がかかっていないかを判断します。膝に負担のかかる職業をあげると、保育士、介護士、看護師など。重いものを持つことや膝の曲げ伸ばし(床に座ったり、かがんだり、飛んだりなど)、膝立ちなどの動作が多い職業と言えるでしょう。保育士さんの間では、膝痛は職業病とも言われているようです。
また、数として多くはありませんが、実際の診療ではお米屋さんをされている人もいたとのことでした。20kgも30kgもある米袋を毎日担いでいるのですから、膝の負担も相当ですよね。
仕事内容からこんな膝痛の原因を推理
外傷というわけでなければ、酷使による一次的な膝痛という診断になります。ただ、膝への負担が積み重なって変形性膝関節症を引き起こしている、もしくは予備軍になっている可能性も考えられます。
膝痛の原因を探る質問5「寝ているときに痛みますか?」
いわゆる「夜間痛」があるかどうかの確認です。これは痛みのひどさを知る指標にもなります。たいていの膝痛は安静にしていれば痛みを覚えることはありませんが、重度になるとじっとしていても痛みを感じるのです。
夜間痛からこんな膝痛の原因を推理
夜間痛は、痛風や偽痛風(痛風が尿酸Naの結晶が原因の関節炎に対し、偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶が原因)、外傷、関節リウマチ(免疫機能の異常から関節組織が攻撃され損傷する病気)などの疾患で、激しい炎症が起こっている場合に現れる症状です。そのため、一般的に夜間痛を訴える患者さまに対しては、これらの疾患を疑います。
逆に、変形性膝関節症ではそれほど見られないこの症状。他の質問で変形性膝関節症と思われ、なおかつ夜間痛が起こっている場合は、かなり進行した状態だと予想します。
膝痛の原因を探る質問6「過去にかかった病気はありますか?」
過去、もしくは現在患っている病気の影響から膝に痛みが生じていることが……。また同時に、現在飲んでいる薬などについても確認します。
既往歴からこんな膝痛の原因を推理
主には、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう:骨や椎間板などの変形で神経が圧迫される腰の病気)や腰椎すべり症(腰椎のずれで神経が圧迫される病気)など、腰の疾患にかかったことがあるか、現在かかっていないかを知るための質問です。これらの病気の神経痛で足にしびれが生じ、それを膝痛だと思い込んでいる人も多いからです。
膝痛の原因を探る質問7「体重は何キロですか?」
最後にあげましたが、直接というよりは、問診票の項目として質問されることの多いのが体重。これは言うまでもなく、膝への負担を推測する目安として質問します。
体重からこんな膝痛の原因を推理
体重は、変形性膝関節症の原因のひとつと言われています。それもそのはず、立っているだけでも膝には体重の2.5倍、階段の昇り降りでは3.2〜3.5倍の負担が! そのためこの質問は、膝痛の原因をつきとめるというより、変形性膝関節症の原因のひとつとして体重が影響しているかどうかの判断基準となります。また、体重は重過ぎると膝への荷重から治療効果が落ちると考えられているため、治療前に体重を質問することが多いのです。
膝痛の原因を知ること以外が目的の質問も
膝痛の原因をつきとめるための質問をまとめてみましたが、整形外科医は治療方法などを考えるためにこんな質問もします。
膝痛の治療法を考える質問「日常で困っていることはなんですか?」
日常生活における動作についての質問です。歩いたり座ったり、お風呂に入ったり、トイレに行ったり、こういった日常の動作を整形外科の専門用語では「ADL動作」と言います。そして、膝痛の問診では必ずと言っていいほど、テッパンの質問です。
この質問の真意は、どういう風になりたいかの確認。膝痛の原因をつきとめるというより、できることとできないことを知ると同時に、患者さまの目標や希望を明確に把握することにあります。例えば、「痛み止めなしで歩けるようになりたい」「また旅行に行きたい」「趣味のスポーツを思いっきりできるようになりたい」などなど。その目標レベルで、提案する治療法もまた変わってくるからです。
推理のあとは的確な各種検査で総合診断
今回は診察時の質問にフォーカスしましたが、もちろん膝痛の原因を推理して見当をつけた後は、視診や触診、様々な検査も行い、総合的に診断を行います。検査と言えばレントゲンやMRI検査を思い浮かべる方が多いでしょう。そういった機器検査も行いますが、痛みの程度や動作の状態を把握する検査も行います。例えば3メートルの距離の往復にどのくらいの時間がかかるかという歩行速度を測るもの(TUG検査)や、膝の痛みの程度を0〜10の疼痛スケールで表現してもらうもの(VAS評価)など。
MRI検査で調べれば早いじゃないかと思うかもしれませんが、見当を付けることも重要な作業です。そのためには、やはり紹介した質問は外せません。膝痛で整形外科を受診する際は、こういった質問の答えを用意しておくと診察もスムーズ。ぜひ参考にしてみてください。