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膝の痛みを引き起こし、生活に支障をもたらす変形性膝関節症。発症してしまうと、外出がおっくうになるなどの影響があり、これまで楽しんでいた趣味が制限される可能性も……。でも、それでは老化を助長してしまいます。いつまでも若く健康でいたい、人生楽しみたいと考える女性にとっては由々しき事態ですよね。
でも、残念ながらこの膝の病気が女性に多いのも事実です。その理由については、前編の「そこには5つの原因が!女性が変形性膝関節症になりやすい理由」で触れましたが、気になるのは「じゃあ、予防するにはどうしたらいいの?」というところだと思います。
女性のみなさま、ご安心ください。今回の後編では、変形性膝関節症の予防のために今やるべきことをご提案します!
変形性膝関節症が女性に多い原因のおさらい
変形性膝関節症が女性に多い理由は、病気の原因自体が女性に関係の深いものばかりだから。前編で詳しく取り上げましたが、まずはその原因について振り返ってみましょう。
原因1:筋力の低下
膝関節への衝撃を和らげる役目も担っている筋肉なので、筋肉量が落ちれば膝への負担も大きくなりあす。ただ、年をとれば筋肉も衰えます。これは性別問わず、人間なら誰でもそう。ただ、女性はもともと筋肉量が男性より少ないため、その影響を受けやすいのです。
原因2:体重の増加
膝関節には体重の2〜3倍の負荷がかかっています。これも男女共に言えること。ですが、女性の身体はそもそもエネルギーを蓄えるように作られています。基礎代謝の低下もあいまり、変形性膝関節症を発症しやすい40〜50代の女性は、体重が気になるという方も多いのではないでしょうか。
原因3:O脚
スラッとまっすぐ伸びた脚は美しいので、O脚が気になっているという女性は少なくありません。実際、日本人女性の8割がO脚なんだそうですよ。
O脚はアライメント不良のひとつ。正常であれば股関節から膝関節、足首の関節までがほぼ一直線状にあります。しかしO脚のように歪んだ配列だと、関節への負荷が内側に集中しダメージを負いやすいのです。また、血行障害や靭帯への悪影響もあるので、膝の痛みが起こりやすい状態と言えます。
女性特有のハイヒールの生活は、常に前傾姿勢という極めて不安定な状態です。体のバランスをとろうとして不自然な体勢が続き、アライメントに悪影響が……。O脚を進行させると考えられます。
原因4:女性ホルモン
骨の形成をサポートしたり骨を強く保つために、エストロゲンという成分が働いています。このエストロゲン、女性の皆さんはご存知ですよね。そう、女性ホルモンのひとつ。
女性にはエストロゲンが急激に減少する更年期があります。この急激な変化が影響し、骨がもろくなったり変形しやすくなってしまうのです。
原因5:骨盤の歪み
O脚にも関係しますが、骨盤が歪むことでアライメント不良が起こります。つまり、膝関節への負担が均等ではなくなるということです。
女性の場合、妊娠から出産時にかけて、骨盤周辺の靭帯を緩める作用のあるホルモンが分泌されます。赤ちゃんが産道を通りやすいようにする身体のメカニズムなのですが、一方で骨盤は不安定に。それが産後、元に戻らないままということも多いため、女性と骨盤の歪みは深い関係にあるのです。
女性必見!変形性膝関節症の予防3ポイント
原因を復習したところで、ぜひ取り入れていただきたい変形性膝関節症の予防法をご紹介します。
1、まずは運動!手順は「筋トレ→有酸素運動」
変形性膝関節症の原因に、筋力の低下と体重の増加がありますが、まずは運動を取り入れてここにアプローチしたいところ。ただ、筋肉を増やす運動とダイエットに適した運動は異なります。筋肉を増やすには、負荷をかけて短時間の運動を行います。これは無酸素運動。反対に、ダイエットでは酸素をたくさん取り込んで脂肪を燃やす有酸素運動を行います。そこで生まれるのが、どちらからやればいいかという疑問でしょう。
女性が効率的に脂肪を燃焼させるためには、まず筋トレを行い、その後に有酸素運動というのがおすすめ。その理由は、脂肪燃焼のメカニズムにあります。「有酸素運動は20分以上行わないと意味がない」という話を耳にしたことがある人も多いでしょう。有酸素運動では20分かけて糖質を消費し、それから脂肪をエネルギーとして使用します。つまり、筋トレを先に行えば糖質エネルギーをこれに消費し、有酸素運動で効率良く脂肪を燃焼できるというわけです。
変形性膝関節症を予防する筋トレ
メインターゲットは、太ももの筋肉です。と言っても様々ですが、最初は大腿四頭筋から鍛えることをおすすめします。具体的には、仰向けの状態で足を上げ下げするというものです。両足10回くらい行います。
横になった状態で行えるので寝る前の習慣にしてみてください。
<初心者の方>
1、仰向けになり、トレーニングしない足の膝を90度に曲げる。
2、トレーニングする足は、膝を伸ばしたまま10cm程あげて5秒キープしてから下ろす。
<慣れてきたら>
1、両足とも伸ばした状態で仰向けになり、手は頭の後ろに。
2、つま先を脛(すね)の方に反らすことがポイント。
3、足が垂直になるようにあげたら、こちらも5秒キープ。
4、足を下ろすときもゆっくり下ろすと効果的。
変形性膝関節症の予防に適した有酸素運動
膝に負担の少ない有酸素運動の代表格がウォーキングです。ここでのポイントは「早歩き」。
「歩く速さで寿命が変わる!?膝痛のためのウォーキング講座」でも少し触れたように、平均的な女性の歩行速度は時速4kmと言われています。これはだいたい、1kmを15分くらいで歩くスピード。これよりも少し速い、時速5〜6kmくらいが適当かと思われます。1kmを10〜12分くらいのスピードです。
ちなみに、ウォーキングがいくら膝に低負担な運動とは言え、過度にやりすぎるのはNG。多くても1日8,000歩くらいにとどめましょう。
2、食事を見直す
運動と平行して意識したい予防法が食事の改善です。過剰なカロリー摂取は肥満の原因になるので、改める必要はありますよね。ここで注意したい点が、やみくもなカロリー制限は変形性膝関節症の予防には不向きということ。なぜなら、低カロリーによって筋肉量が落ちてしまう恐れがあるからです。筋肉をつくるのにもエネルギーは必要ですからね。
また、女性ホルモンの観点から予防する場合も食事は重要。栄養素にはエストロゲンに似た働きをするものもあるからです。ただ、イライラや気持ちの落ち込みといった症状も強く合わられている場合は、ホルモン補充療法も視野に入れ、専門家に相談することをおすすめします。
”しっかりカロリー摂取法”で予防するなら、冬がチャンス!
一般的な生活(デスクワークや通常の家事など)の場合、女性の1日の摂取カロリー目安は1700〜1800kcal。ただ、これでは筋肉を増やすことを意識するなら、プラス100〜300kcalくらいを摂取しつつ、筋トレを行ってみてください。ただ、やみくもにカロリーを高くすればいいというわけではありません。体重ばかりが増えてしまいますからね。摂取カロリーの15〜35%はタンパク質を採るよう心がけましょう。
そして、この方法をやるなら今がチャンスです。1日に消費されるエネルギーのうち、6〜7割を基礎代謝が占めています。基礎代謝は、身体を動かさなくても呼吸などの生命活動で消費されるエネルギー。そんな基礎代謝は、実は冬に高まることをご存知だったでしょうか! さらに、基礎代謝の4割は筋肉によって消費されます。つまりこれからの痩せやすい時期こそ、きちんエネルギーを摂取して筋肉量を増やせば、痩せやすい体質がつくられるため変形性膝関節症の予防には一石二鳥というわけなのです。
【出典】
「基礎代謝の加齢並びに季節変動」大島寿美子ほか 栄養学雑誌 1972.11 30巻6号p240-251
イソフラボンメニューを取り入れる
エストロゲンと同じ働きをする栄養素と言えば、イソフラボンですよね。脂肪燃焼効果もあるということからも、女性の変形性膝関節症の予防にはぜひとも取り入れたい栄養素です。ご存知の通り、豆腐や味噌、納豆、きなこなどに含まれています。
具体的には「きなこ牛乳」などはいかがでしょうか。1~2年前に別の用途としてSNSで話題となりましたが、骨にとって重要なカルシウムとイソフラボンを同時に摂取できる点でおすすめです。
女性ホルモンの観点以外にも、「変形性膝関節症を予防する食事〜5つのOKと3つのNGとは〜」で食材やメニューをいろいろご紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
3、身体の歪みにはストレッチ
O脚や骨盤の歪みなどの視点で変形性膝関節症を予防する場合、歩き方の改善がひとつあります。正しい歩き方(背筋を伸ばし、膝をきちんと伸ばして前に出す)やハイヒールを控える(もしくはハイヒールでも正しい歩き方をマスターする)などで、悪化しないよう心がけるのです。ただ同時に、すでに起こっているアライメント不良をどうにかしなければなりません。そこで有効なのが、ストレッチです。
軽度のアライメント不良ではありますが、負担が集中して硬直した筋肉をほぐすストレッチと筋トレの組み合わせで、実際にアライメントが回復した方もいます。
ハムストリングのストレッチ
O脚には太ももの裏の筋肉、ハムストリングが関係しています。この筋肉をほぐすことが、O脚改善の足がかりになります。
<立ってやるストレッチ>
1、ストレッチする足を半歩前に出す。
2、反対の足の膝を軽く曲げつつ、股関節から身体を折りたたむように前屈。
3、伸ばした足が曲がってしまうようなら、身体を倒す角度を浅くして調整。
<座ってやるストレッチ>
1、足を伸ばして座り、片方の足は折りたたむように膝を曲げる。
2、股関節から身体を折りたたむように前屈。
3、背中が丸まったり、伸ばした足の膝が曲がらないようにするのがポイント。
腸腰筋のストレッチ
骨盤の歪みに関係するのは、もちろん腰回りの筋肉。特に、腸腰筋(大腰筋と腸骨筋の総称)をほぐすことが有効です。
1、片膝を立ててサスケ座り。
2、お腹から出すイメージで前方に体重移動する。
3、背中や腰が曲がらないように注意。
変形性膝関節症を予防して、いつまでも若々しく
変形性膝関節症は一度発症してしまうと、治療で完治することが難しい病気です。そのため、予防という観点がとても重要。膝の痛みが強くなれば、冒頭でお話ししたように色んなことへの興味や意欲が低下してしまうからです。これにより生活に刺激がなくマンネリ化していしまうと、脳の前頭葉が萎縮する心の老化を招き、さらにやる気がなくなるという負のスパイラルに。見た目も心も、どんどん老けこんでしまうのです。
そんなことにならないよう、できるだけ早めに予防法を生活の中に取り込んでいきましょう。